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ぶらんぶらん
短編

ぶらんぶらん

ぷー 2014年10月1日
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末期癌で、天涯孤独で、すでに麻薬で痛みを和らげている40代のEさん 見舞いにくる人もいませんでした でも、長く飲み屋さんで働いていたらしく 人と話すことやお酒を飲むことが好きだったようでした 明瞭ではない意識状態でもたまに回診で医師に「ビール飲みたいな」などとはなしていたそうです 担当医は自分が当直の日にはこっそりと瓶のビールを一本だけ買ってきては 私たち看護師にこっそり飲ませてあげてほしいとそのビールを渡しました 夜勤が忙しくない時には、こっそり担当医と看護師などで見守りながらビールを飲ませてあげました 小さなグラスにビールを注ぎます Eさんは嬉しそうに注がれるビールの泡を眺めます そして「いただきます」と私たちに軽く頭を下げ、飲み干すのです 一杯のビールを飲み干すとEさんは満足した顔で 「おいしかった ありがとうございます」 そう言って横になります 気分が良いのか、私たちが病室を去ると 鼻歌が聞こえます Eさんの病室はナースステーションの目の前で、いつもドアは開けたまま 廊下からは目隠しのためにカーテンをしてありました ビールを飲んで鼻歌に合わせて、ベットから手を垂らし その手は鼻歌に合わせてブラブラと揺れていました 今日も気分が良いのだろうな、良かったなとたまに同僚と話したりすることもよくありました Eさんは半年ももたずに一人でひっそりと亡くなりました 一年も経ってはいなかったと思います 夜勤の途中、同僚と休憩室で休みながら雑談をしていました すると 「フフン♪フンフン…フンフン♪」 誰かの鼻歌が聞こえます 私たちは目と目を合わせました あのEさんの鼻歌です 二人とも互いに青ざめた顔を見つめあい、動けません すぐに近くから聞こえるのです しばらくの間、その鼻歌は小さくなったり、聞こえなくなったり、また聞こえ出したりしていました 私は同僚に言いました 「見てくるわ」 同僚も着いてきます ナースステーションの奥に私たちの休憩室 その手前には採血や点滴などの処置をする処置室があります 処置用のベッドに、手前には遮るためのカーテン 普段は処置で使用する時以外にはカーテンはしまっていません カーテンは閉まっていました 暗がりの向こう側、カーテンの下からは ぶらんぶらんと揺れる手がありました

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