
長編
リアルなゲーム
匿名 2日前
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ある日、俺は彼女と見本市を回っていた。
ドーム球場程の広い会場の中で、最新の家電やゲーム機などが多くの新商品や試作品などが並んでいた。
彼女は俺と手を繋ぎながら興味深くいろいろな商品を見ていた。
その中で目を引いたのは、
「人生バーチャルゲーム」
というPRの看板と、最新型のゲーム機だった。
俺と彼女は不思議そうに眺めていると、店員が来て
「これは、人の一生を体験できる機械なんです。」
「人の一生?」
「そう。人の一生そのものをね。体験してみますか?」
「でも時間かかるんじゃないの?」
「とんでもない!一瞬で終わりますよ。」
「一瞬で?本当に?」
彼女も俺に
「面白そう!やってみて!」
というので、体験してみることに。
そして、ゲーム機の扉を開けて中に入った。
「では、ごゆっくり!」
と店員が言った。
中に入ると椅子のようなものがあり、そこに腰掛けると急に目の前が真っ暗になり、電気を消したときのように意識が途切れた。
・・・
それは、まさに人間の一生そのものだった。
ゲーム開始前の記憶は全て消えたところからはじまる。
赤ん坊が母親の胎内で育ち、産声とともに新しい世界に生まれる。
両親のたっぷりの愛情のもと育ち、2年後には妹もできた。
その後は幼稚園に入り友達もできて、言葉もたくさん覚えた。
そのあとは小学校に6年間通い、思春期を迎えて大人の体つきになり中学生に。
中学校では運動系の部活に励み、高校受験を経て高校生に。
高校では初めての彼女ができて、また進路について考えた。
そしてまた受験を経て大学生に。大学では課題や論文に追われながらも、サークルや飲み会など学生時代を満喫し、そして就活へ。
苦労しながらも内定を勝ち取り会社員になった。
社会人になると上司や取引先などの人間関係に悩みながらも、仕事に生きがいや責任感を持って取り組んだ。
数年後には当時の恋人と将来を約束し結婚。その後は家を買い、息子や娘も生まれて妻とともに苦労しながらも必死に育てる。
子供達も就職や結婚などで巣立っていく頃には、定年退職。老後は趣味や近所付き合いを大事にし、孫の顔を見て喜んだ。
その数年後には老化が進み、体にも負担がかかっていた。
そして妻や息子や娘たちに見送られながら生涯を終える。
・・・
・・・
目を開けるとゲーム機の中だった。
不思議な機械が並ぶ小部屋で椅子に腰掛け、ゲームが終わったからか映
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