
これはオレが5才くらいで保育園にまだ通ってた時の話。
オレには兄弟がいて上に歳の離れた兄と姉がいるんだけど、姉の方に子供が生まれたんだよ。要するに甥が生まれて、オレは5才にして叔父さんになったわけ。
姉は別のところに住んでいて実家からそれほど遠いわけじゃないから、たまに甥っ子を見に母さんがオレを自転車に乗せて行ったりしてたんだ。(荷台に椅子がついたタイプの自転車)
ちなみにオレも兄弟の歳が離れているせいか弟ができたみたいで嬉しかった。
その日は寒い日でオレは平和に保育園で遊んでたんだ。でも今日はいつも迎えに来る母さんが遅くて外がどんどん暗くなってきてすごい不安だった。
そう思っていたら母さんが迎えに来た。
「ねねのとこに行くから」と言ってもふもふのジャンバーを着せてオレを自転車に乗せて姉が住んでるアパートに向かった。(ちなみにねねは姉の名前ではない。念のため)
それで姉のアパートに向かう途中にいくつか信号機のない交差点があるんだけど、アパートのすぐ近くの交差点もそのひとつだった。
その交差点の手前にひらけた駐車場があるんだけど、交差点まで直進してくるヘッドライトが右から来るのがみえたんだ。
駐車場から出てきた車じゃなくて、道路を直進してくる普通の車だったんだけど、すごく遅いんだ。それで何故か知らないが、オレはこの車に当たるかもしれないと直感でわかった。普段は鈍い性格をしているオレでもこれはまずいと思った。
「ママ、車気をつけて。車来てる」
オレは何度もそれを口に出してるつもりだったんだけど、心の中で叫んでただけかもしれない。母さんは気付かないし、自転車の後方に座ってるオレは本当にヤバいと思った。
そのまま母さんはゆっくり交差点まで直進して、車もゆっくり直進してきてぶつかる瞬間にスローモーションが解けて、ドーンと世界が回った。もしかしたらオレは一瞬気を失ったかもしれない。
気がついたら自転車のタイヤが空回りしていて、母さんが倒れていた。車から人が降りてきて、「大丈夫?怪我はない?」て聞いてきた。
オレは止まれの標識の下で座っていた。もふもふのジャンバーを着ていたのがよかったのかもしれない。さらに後ろには駐車場を囲う低いブロックの壁もあったしマジで奇跡だった。
そのまま救急車を呼んで、うちの母さんが電話で呼んだ姉さんも甥っ子を抱きながらアパートの外に出てきて本当に大変だった。
後日談:
- 母さんは全身打撲で目が痛々しいパンダみたいなアザができた。オレは奇跡的に無傷だった。 オレは車がぶつかる瞬間のスローモーションのことを母さんや姉に話したが信じてもらえなかった。みんなが言うには車の方がスピードを出していたらしい。 事故のあとあの交差点には信号機が設置されて道路は何故かカラフル色に塗装されていた。
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