
数年前の冬の夜、仕事が忙しすぎて体が悲鳴を上げていた私は、とうとう熱を出して寝込んでしまった。普段は無理をしないように心掛けていたが、今回は完全に力尽きてしまったのだ。食事を取ることもできず、夜の暗闇に包まれた部屋で一気に眠りに落ちた。
深い眠りから目を覚ますと、耳元で誰かの声が聞こえた。恐る恐る目を開けると、古びたアパートの薄暗い部屋の中に、明らかに異なる存在を感じた。時計を見ると、午前2時。寝ていた時間が長いことに驚きつつも、再び声が聞こえる。天井を見上げると、亡くなった祖父と、私が愛してやまない祖母が、何かを訴えかけるように浮かんでいた。
体が動かない。心の中で叫んでも、言葉は声にならない。祖父母は手を差し出し、私に向かって微笑んでいた。「お前は頑張った、でもそろそろ来なさい。手を取れ。」その言葉が、はっきりと耳に届く。私は何かに引き寄せられるように感じたが、同時に今の仕事のことが頭をよぎる。あの古いラジオの音が、仕事の片付いていないことを思い出させた。
「まだやることがあるから、今は無理だ」と心の中で呟いた。すると、祖父母の表情が変わり、少し寂しそうに見えた。「お前は本当にお前らしい」と言い残し、彼らの姿は天井へと戻っていった。消えていく彼らを見つめながら、私は叫び声をあげた瞬間、ベッドから落ちて目を覚ました。
夢だと思いたかったが、部屋には祖父が好んで吸っていたタバコの匂いが漂っていた。これは現実なのだと確信し、あの時手を取っていれば、今の私は存在していなかったかもしれないと考えた。不思議な体験が、私の心の支えとなっている。あの言葉を胸に、私は再び立ち上がる決意をした。今、目の前にある現実を大切にしていこう。彼らの存在を忘れずに。
この夜の出来事が、何かの啓示だったのかもしれない。私の人生はまだ続いている。
祖父母の声は、今も心の中で響いている。
後日談:
後日談はまだありません。
この怖い話はどうでしたか?
chat_bubble コメント(0件)
コメントはまだありません。


