本当にあった怖い話

私の姉が入院している時に体験したことだそうです。

ある日、検査が終わって病室のベッドで休んでいた時、急にシューという音がして、辺り一面、白い霧のようなもので包まれ、自分とベッド以外何も見えなくなってしまったそうです。何が起こっているのかわからなくてきょろきょろしていると、白い霧の中からやせ細った男性の顔が浮かび上がってきたそうです。頬がゲッソリとこけていて前歯が剥き出しになっており、頭が人の頭の形には思えないくらい丸くツルツルしていたそうです。瞬間気持ち悪いと思ったそうです。ガイコツのようにも見えたと言っていました。その時姉は病気で入院していたということもあり、その男の人は何か悪いもので、私の病気は治らないのかな、もしかしたらあれは死神で、もうすぐ私は死ぬのかなとか不安になったそうです。そんなことを考えていると、白い霧は薄くなっていき、男の人の顔も消えていったそうです。

数日たったまたある日、ベッドで休んでいるとまた白い霧で包まれ、例の男の人の顔が浮かび上がってきたそうです。もちろん怖いという気持ちはあったけれど、姉はなぜか、その男の人の不自然なくらい丸い頭の形が気になったそうで、ついまじまじとその男の人を見てしまったそうです。霧で包まれているせいもありぼんやりとしてはいるけれど、なぜか気になったそうです。そしてまた、霧と一緒に消えていったそうです。

その後も何回か同じ体験をし、それを自分の中だけに留めておけず、看護師さんに話してみたそうです。すると看護師さんは冷静に、でも優しくその男の人が現れる理由を教えてくれたそうです。看護師さんがいうには、昔その病院があったところは、戦時中負傷した兵隊達が運び込まれてくる場所で、苦しみながら死んだ兵隊達も多くいたそうです。それで、その兵隊達が姉の前に現れたように時々姿を見せるそうです。

看護師さんの話を聞いて、姉は気になっていた男の人の不自然な頭の形の謎が解けたそうです。あれは、兵隊達が被っていたヘルメットで、不自然に丸い形をしていたのはそのせいだとわかったそうです。

看護師さんに話を聞いてから男の人が現れることはなくなったそうです。今も時々思い出しては、不思議な体験だったと感じるそうです。