
この前、旨いと評判の店にカツ丼を食べに行った。
「へい!お待ちどお!」
と、目の前に置かれる大きなどんぶり!
蓋を開けると、香ばしい匂い、綺麗に揚がったカツと彩り豊かな具、見ただけで涎が出てくる最高に美味そうなカツ丼!
一切れ口の中に頬張ると、サクサクの衣に濃厚な味の豚肉。
至福のひとときだった。
俺は最高に旨いカツ丼を堪能していた。
俺はカツ丼ができるまでのワクワク感とカツ丼のあまりの旨さに、カツ丼のことだけに集中していた。
カツ丼を半分程食べた頃、ふと横を見るといつの間にいたのか綺麗な女がカツ丼のどんぶりを持ってうまそうに食べていた。
女は胸くらいの長さのおろした髪、可愛らしいワンピースで、20代半ばか30前後の俺より少し年下くらいの割と綺麗な女だった。
女はカウンターに一人で座り、分厚いチキンカツを箸で摘んでいた。
若い女が一人で肉を食べに来る意外さに俺はしばらく眺めていた。
女も俺に気づいてこちらを見て、あんまりジロジロ見すぎると不審に思われると思い、俺は目を逸らしたが女はしばらく俺を見ていた。
それから、そのカツ丼屋に行くとその女を見かけることが何回かあった。
女はいつ見ても綺麗だった。
女は鶏肉が好きなのか、チキンカツ丼を食べていることが多かった。
仕事が終わったあとのある晩のこと・・
閉店間際の割と遅い時間だった。
店を出ると、雨が降っていて結構強かった。
その日はたまたま折り畳み傘を忘れてきたこともあり、駅まで多少濡れるしかないかなと思っていると・・
「あの、駅までで良ければ送りますよ。」
振り返ると、あの女が傘を持って立っていた。
「いいんですか?」
「私も駅まで行くので。」
俺は女の傘に入れてもらい駅まで歩いていった。
彼女どころか知り合いですらない若い女の傘に入れてもらうとか・・。
駅までは少し距離があるので女と少し話しながら歩いていた。
しばらく話していたが、そのあとは黙って歩いていた。
女の傘に入れてもらっているにも関わらず何か濡れるなぁって思っていた。
俺は傘から出てきてるのかなと女の方を向くと。
そこには誰もいなかった。
辺りを見渡したが、女はどこにもいなくなっていた。
俺は不思議に思いながらも駅までかけていった。
・・
その後、あのカツ丼屋であの女を見ることはなかった。
あとで聞いた話だが、昔あのカツ丼屋の常連でチキンカツが大好きだった女性がここの近くで交通事故に巻き込まれて亡くなったという。
後日談:
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