
いつどこで起きた災害かは伏せる。
俺が34才で独身の会社員だったとき、俺の住んでいる地域は大災害に見舞われた。
災害の瞬間、ガソリンがほぼ満タンに入った車に乗っていて車も俺自身も無事だった。
町には避難所が設けられたが、もしそこに俺が行こうものなら
「車があるなら貸して。」
「持っている食糧はみんなで分け合いましょう。助け合いです。」
「毛布や防寒着は子供や高齢者に分けてね。」
「携帯電話を貸して。どうしても連絡したい人が・・」
など根こそぎとられることは目に見えていた。
俺は必要な場合以外は人に近づかず、避難所から少し離れたところで車中泊しながら、壊れた自宅から辛うじて持ってきた食糧をちびちび食べて救助を待っていた。
車のガソリンは余裕があったが、どこに行ったらいいか分からないし下手に動いてガソリン切れになったら地獄を見る。
俺は車を動かさず、夜だけ窓を閉めドアをロックして生活していたあるとき・・ 夕闇が迫ってきた頃、俺の車のドアをノックする音が聞こえた。
窓の外を見ると20代後半くらいの割と綺麗な女がいた。
女は髪や服装が少し乱れていて、本当に困っている様子だった。
俺は運転席の窓を少し開けて話をすると
「助けてください。私、食べるものも住むところもないんです。」
その話を聞きながらも違和感を感じて外をよく見ると、女の背後の少し離れたところにはこわい顔の男が立っていて今にも襲いかかりそうな勢いだった。
言うまでもなく女とグルで、女に物乞いさせて油断させる作戦だ!
俺は、車を急発進させて逃げた。
背後から、
「待ってくれ!せめて食糧を少しでも分けてくれ!」
と言う男の声が聞こえたが、もう知ったことではない。
だから、災害時は誰も信じるべきではないんだ!
後日談:
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