
私たちの町の外れには、古びた廃校があります。冬の間は誰も近寄らないその場所は、まるで悪霊が棲みついているかのように静まり返っています。日が短く、薄暗い廊下は、昼間でも不気味な雰囲気を醸し出していました。
友達と遊ぼうと、その廃校の裏手にある水道の前で集まっていた私たち。急に、誰もいないはずの校舎の中からかすかな声が聞こえました。「誰かいるのか?」と友達の一人が言いましたが、私たちは恐れをなしてその場を離れようとしました。
しかし、好奇心が勝ってしまい、もう一度校舎の中を覗くことにしました。すると、驚くべき光景が目に飛び込んできました。
一人の男が、薄汚れた服を着て、こちらを無表情で見つめているのです。彼は水道の前で、まるで体を洗うように顔をすすいでいました。寒いこの時期に、なぜそんなことをするのか理解できませんでした。
「何をしているんだ?」と声をかけると、男は驚いた様子で振り向きました。彼の目は焦りに満ち、すぐに服を整えようとしました。何かが起こる予感がしました。
その瞬間、外から大きな叫び声が聞こえました。「逃げろ!警察だ!」
男は慌てて外に飛び出し、私たちはその後を追いました。すると、数人の警察官が男に向かって走り寄り、すぐに彼を取り押さえました。
警察官の一人が「お前は逃亡者だ!」と叫び、私たちは愕然としました。もしもあの男が私たちの近くにいたら、どんな恐ろしいことになっていたのかと思うと、身の毛がよだちました。あの冬の廃校での出来事は、私たちの心に深く刻まれたのです。
やがて、静かな校舎に戻ると、何もなかったかのように、ただの廃校に戻りました。だが、私たちの心には、あの男の目が焼き付いていました。何も知らない町の外れには、時に恐怖が潜んでいるのだと。
冬の昼、薄暗い廃校の裏手には、確かに異者がいたのです。
その後、私たちは二度とその場所に近寄ることはありませんでした。
後日談:
後日談はまだありません。
この怖い話はどうでしたか?
chat_bubble コメント(0件)
コメントはまだありません。


