
私が小学校に上がる前、弟と一緒におじいさんと暮らしていた頃の話です。古い倉庫の隅には、私たちが遊んでいたおもちゃが散らばっていました。おじいさんは高齢でしたが、記憶はしっかりしており、私たちに色々なことを教えてくれました。
ある秋の夜、私たちは倉庫でかくれんぼをしていました。弟が隠れる場所を探していると、ふと古い木箱の音が聞こえました。それはまるで誰かが中から出てくるような音でした。私は弟に「何かいるの?」と聞きましたが、彼は無言でじっと耳を澄ませていました。
その時、私はかすかに「こっちだよ」と呼ぶ声を聞きました。優しい声で、まるでおじいさんの声のように感じました。私はその声に導かれるように、木箱に近づきました。しかし、木箱を開けると、中には古いおもちゃしかありませんでした。
その晩、倉庫で寝ることになった私たち。突然、また「あっちだよ」と声がしました。驚いた私は目を覚まし、弟を揺さぶりました。「おじいさんが呼んでる!」と叫びましたが、弟は夢の中で寝ていました。私一人だけがその声を聞いていました。
翌朝、おじいさんにそのことを話すと、彼は微笑みながら「昔のことを思い出しているんだろう」と言いました。その言葉に安心した私は、またその声を聞くことを期待していました。
しかし、数日後、弟が一人で倉庫に入った時に、また「あっちだよ」と声が聞こえました。彼はすぐに逃げ出し、私たちはそれ以来、倉庫に近づくことを避けました。あの声が一体何だったのか、今でも思い出すと背筋が凍る思いです。あの日の出来事は、ただの夢だったのかもしれませんが、今もなお、あの声が耳に残っています。私たちの心の中に、何かが潜んでいるのかもしれません。
そして、今でも時折、倉庫の近くを通るたび、あの声が聞こえた気がして振り返ってしまいます。何もいないはずなのに、あの優しい声が、今も私を呼んでいるように思えてなりません。
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