
短編
手
まっちゃん 3日前
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お茶請け程度のものですが、投稿させていただきます。
昔、私の田舎には買い物ができる場所というものがあまりありませんでした。しかし、自分が小学校高学年くらいになったときに映画館も併設された大きなショッピングモールができ、その併設された映画館に行ってみようという話になりました。そして、母と母の友人、私と友人の子供たちという構成で映画に行きました。
映画が始まり皆と鑑賞していた時のことです。その時自分は一番壁側の席でした。もちろん隣には誰もいません。最初はなにか腕にさわさわした感触がするのです。最初は空調の風が腕に当たっているせいかと思いました。腕を何回かさすってもさすってもしばらくするとさわさわとしてくるんです。すると、さわさわする感触から掴まれているような感触になり段々とぎりぎりと握り締められるような感触に変わってか行ったのです。もうあまりにも痛くて映画鑑賞するどころではありませんでしたが、今度は離されていく感触がありました。そのとき、母の友人の子供の一人がトイレに行きたいと言い出しました。その子はまだ小さいので、付き添ってあげてほしいといわれトイレにその子をつれて行ったのです。暗い映画館からでたときに何げなく自分の腕を見てみると、複数の腕に捕まれたようなあとが赤黒く残っていました。その子のトイレが終わり、映画も終わった後に映画館から出ると母やその友人からその腕は一体どうしたのと言われるほどでした。家に帰った後に、映画館であったことを母に話しました。すると、あのショッピングモールは田んぼだったところに建っているのだということを教えてもらいました。そして田舎の田んぼには墓がポツポツとあるものだそうで、代々続くお墓もあれば、もうお参りする人すらいなくなったものもあると。母曰く墓石だけ移動させてそこの上に建てたのかもね、と。もしかしたら、お参りする人もいなければ、墓石は移動させられその挙句その上には巨大なものを建てられている。さみしいというよりも無念に感じたのではないだろうかと今となって思います。でも、なぜ私の腕を締め上げてきたのかだけはわかりません。
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