
「私は理系を選んだ。物理学科に進むためだ。夢は建築家になること。だが、物理の成績はいつもギリギリだ。どうしても物理が苦手なのに、なぜこんな選択をしたのか、自分でも理解できない。」私は淡々と自分の過去を振り返っていた。
冬の夕方、研究室の薄暗い空間で、机の上には私が作成した模型が並んでいる。教授は私の作業を見守りながら、時折厳しい目で指摘をしていた。模型は、私が夢見る建物の一部を再現したもので、実際の設計に使えるはずだった。
だが、その模型には奇妙な点があった。形が歪んでいるのだ。初めは気のせいだと思っていたが、何度も手直しをしても、いつも同じ歪みが現れる。私はその原因を探ることにした。
研究室の資料を漁り、夜遅くまで作業を続けた。だが、物理の原理が理解できない私には、どうしても解決策が見つからなかった。やがて、教授の視線も冷たくなり、私は孤立していく。仲間たちも私を見放していった。
そしてある日、模型の歪みの原因をついに見つけた。私の設計図に、恐ろしい秘密が隠されていたのだ。それは、この模型自体が私の精神状態を反映しているということ。私はその瞬間、全てを理解した。物理が嫌いな私が選んだ道は、実は私を追い詰めるための罠だったのだ。
留年した私は、結局、研究室から出られないままニートになってしまった。夢を追いかけたつもりが、いつの間にかその夢に飲み込まれていた。冬の夕方、私の心は凍りついていた。模型は今も、私の目の前で歪んだまま、静かに佇んでいる。何もかもが、物理の罠だった。
その瞬間、私は本当の恐怖を感じた。物理の授業で学んだはずの法則が、今や私の人生を支配している。どうして、こんなことになったのか。私は夢を追い続けることができないまま、ただの影になってしまったのだ。
「やっぱり、物理は私を許さない。」私は心の中で呟いた。冬の寒さが、私の背筋を冷たくした。
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