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中編
奈那子
中編

奈那子

2022年7月9日
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友人ととK沢に旅行に行った時のことです。旅の興奮もあってか早朝に目を覚ました私たちは、町を散策がてら「日本の百選」にも選ばれたというため池を見に行くことになりました。ため池というより湖といったほうがいいような青く澄み切った水を背景に写真を撮り、好奇心もすっかり満たされ、では帰ろうかというときに、友人が素っ頓狂な声を上げました。「ねえこれ見て。お地蔵さんじゃない。」「裏側になんか書いてあるよ。…奈那子?ななこってよむのかな、これ。」「別にいいじゃん、お地蔵さんだって名前ぐらいあるよ。」茶化すようにそう言い、私たちはひとまずその場を離れました。友人は、旅館に帰ってからもまだそのことが気になるらしく、朝食を運んできてくれたおばさんに、「ねえ、ため池の近くにお地蔵さんてありません?」となどと聞き始めたのです。その瞬間、おばさんの顔はぎょっとするほどこわばりました。そのまましばらく押し黙っていましたが、やがて重たげに口を開きました。「…聞きたい?」「はい。」

あれは40年ほども前のことだった。ある若い母親が、嫁にきてすぐに赤ちゃんを産んだ。赤ちゃんは女の子だったが、初めての子だということで親戚中が喜び、その子をかわいがった。ところが、半年たった時、偶然行われた検診時の血液検査で両親と血のつながりがないことがわかってしまった。これは取り違えられたに違いないということで、直ちに本当の母親が探しだされ、交換ということになった。まだ生後6か月だったので、交換は比較的速やかに行われ、親戚も、母親でさえも何事もなかったかのように本当の子をかわいがるようになった。そんなある夜のこと、我が子に添い寝していた母親は、奇妙な声で目を覚ました。「…タライマ」しかし周囲には誰もいない。昼間の育児疲れが出たせいかと思い、またすぐに寝てしまった。数時間後、今度は別な違和感で目を覚ました。寝巻がぐっしょりとぬれていたのだ。ははあ、子供がお漏らしをしたんだな。そう思って布団を覗き込んだ瞬間、悲鳴とも鳴き声ともつかぬ声を上げてのけぞった。中にいたのはわが子ではなかった。冷たい灰色の塊が、暗い二つの目でじっと母親を見上げていたのである。彼女の絶叫を聞いて駆け付けた家族が見たのは、うずくまって泣き続ける母親と、なぜか部屋の隅に転がされて泣いている赤ん坊だけだった。

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はじめまして、よろしくお願いします。

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