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長編

線香の匂いと暗闇に潜む影

ひろっぴー 2017年9月25日
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20年ほど前に、フリーでシステムエンジニアの仕事をしていたときの実体験です。 他でも書いたことのある内容なので 読まれた方もいらっしゃるかもしれませんが・・・ 当時、30前位でようやく、大きいプロジェクトでもリーダーとして働けるようになった頃でした。 プロジェクトは、某超大手保険会社の損害保険管理システムでした。 あまり詳しくは書けませんが、受注した会社も某超大手IT企業・・・ 納期が間に合わなくて、違約金を支払わないといけなくなるので、その為の対応チームでした。 急なプロジェクトチームなので作業場所もなく、当初は保険会社のバブリーな会議室の隅で作業していました。 作業を始めて1週間くらいの時、作業員の1人が仕事中に突然泣き出し、意味も分からぬまま、 翌日から仕事に来なくなりました。後で聞けばノイローゼになって入院したとのこと。今思えば、その時から 異変は起きていたようでした。 作業場所が翌日から変わるということを聞かされ・・・聞くと歩いて行ける場所だということ。 まぁ大きな保険会社なので、別棟の会議室でもあるのかな・・・なんて思っていました。 そして、翌日・・・案内された場所が、繊維工場の跡地でした。 建物は大きいのですが、プレハブの大きな箱・・・といった感じでした。 つくりも古く床は木・・・トイレも和式が1個。事務室が階段を上ったところにあり、そこが休憩室となっていました。 しかし、湿気とホコリの匂いで変な感じでした。 「マジでここで作業するの?」と、メンバー全員が言ってたのですが、長机が運び込まれあれよあれよという間に環境が 整えられていきました・・・^^; 工場の大きさは長机が、50台ほど置いて皆が余裕で座れるほどの大きさです。そこに最初は長机3台と、ホワイトボードだけ。 作業員は私を含め5名。(うち女性2名) 異変が始まったのは、打ち合わせをしている時でした。部屋の隅でホワイトボード前に折りたたみ椅子を持ってきて そこで打ち合わせをしていました。 私が、一応リーダーでしたので、私がスケジュールやら、作業工程やら話していた時でした。 突然・・・「パーン!」って鳴りました。私は「え?」と思ってなった方向をみたのですが、何もなく・・・・ その時作業員の一人の女性(Aさん)が、「リーダー、あまり気にすると皆が怖がりますよ・・・皆聞こえてないですから・・・」と言ってきた。後でわかったのだけど、そのAさんも霊感はあるとのこと。 ラップ音だけならまぁ仕方がないかと思って、話を進めるとさらに「パーン!」って、ものすごい音がすぐそこでなりました。 思わず、「誰も聞こえてないの?さっきからなってる音?」と、聞いてみたのですが、Aさん以外はだれも聞こえていないようでした。そのあとも鳴っていましたがしばらくすると鳴りやんだので、そのままミーティングを行っていました。 それからラップ音以外、特に何も起きることはなく、作業の方も順調に進んでいました。 ある日・・・トイレを使うと、ものすごく線香の匂いがしました。 Aさんに「実はこの工場の裏墓地ですよ・・・」と聞かされていたので、あぁだから線香の匂いが充満しているのかな・・・と。 そのトイレは男女共用なので、私の後に行ったAさんに、「ものすごく線香の匂いしたでしょ?」って 聞いてみると・・・Aさんはやばそうな顔して「してないですよ!、リーダーやばいんじゃないんですか?」と言ってきた。 慌ててトイレに行ってみると、線香の匂いなど少しもしていませんでした。 その日、作業が長引き駅まで行くバスの最終時間が近づいたころ、工場を出ました。帰るとき徹夜組がいたのですが帰るときは私1人でした。 その日、月が出ていなかったのか、あたりは真っ暗でした。工場の前は大きい2車線で車が通るのでそれなりに見えるのですが 両脇の歩道がものすごく暗かったことを覚えています。 工場を出て、出口を左に曲がり歩道を歩いていくのですが、いつものように左に曲がり前を見ると、暗闇に何か立っているのが見えました。ただその得体のしれないものと私の間が25mほど。間に犬の散歩をしている女性が2人いました。 女性は、その暗闇の先に向かっているのですが、その得体のしれないもの・・・には、気づいていない様子。 最初は気にせず、私も女性の後を一緒についていこうと思い、そちらに向かいました。 得体のしれないものに近づいていくと、黒い人のような固まりということがわかりました。歩道のど真ん中にいて 微動だにしていません。女性がその黒い物体を通り過ぎるとき、その黒い物体が するっと、すり抜けました。 その瞬間、ゾクッ!として、反対の歩道に逃げました。 反対の歩道についた瞬間、目の前に自分の背丈位の火柱が立ちました。 で、パ二食っているところへ、「ワン!ワン!ワン!」と歩道の向こうの暗闇から、犬にほえられ 足がもつれて、車道側にこけそうになった時、目の前に車のライトが・・・・ ギリギリのところで車にははねられずに済みましたが、その後は、猛ダッシュで走って逃げました。 翌日・・・行くのも嫌でしたが仕事だから仕方なく行ってみたところ。黒い物体があったところはもちろん何もなく、 火柱が立ったところも何も燃えてはなく、犬が吠えたところは山が崩れないようにしているコンクリートで塗り固められた壁でした。 その後、破格値で作業継続依頼が来ましたが、断りそこへは2度と行くこともありませんでした。 ラップ音に気付きながら無視したのが原因なのか、よくわかりませんが・・・ 線香の匂いがするときは、ちょっと身構えてしまいますね・・・^^;

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