
長編
バイト先での出来事
みほ 3日前
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言うから」と先輩は訳を話してくれません。口調はいつもの男みたいな感じに戻っていました。でもやっぱり怖がってる。19時50分頃迄楽しく喋っていたのに、一気に重い空気になってしまいました。雨は降っておらず、湿気を含んだ空気がムッとしていました。内心怖かったのですが、気になって仕方ない。でも、やはり先輩は話してくれませんでした。
駅で先輩と別れ、自転車に乗って私は家に帰りました。
翌朝、先輩は勿体つけずに話してくれました。
半年ほど前、同じ事があったそうです。その時の先輩の相方は先輩と同い年のショートカットの可愛い子で、我々に見えないものが見える人だったそうです。そして、例外に漏れず和菓子屋を辞めていました。
その夜は、可愛い短髪がケーキを数えて、先輩が自動ドアの電源を切ったそうです。自動ドアが半分まで開き、外からは救急車のサイレン。短髪はケーキケースの後ろにしゃがんでおり、開いたドアから小さな子供が入ってくるのをケース越しに見たそうです。親がついてこない。20時に子供だけなんて変だなと思いながらケーキを数えていると、ふと、脚しか見えていないことに気づいたそうです。そして、丸いテーブルの辺りで脚は消えたのだとか。(先輩が示したその場所は、昨夜顔の高さの空気だけが熱くなっていたすぐ側でした)
短髪は悲鳴を上げて外に飛び出し、外から先輩に直ぐに出るよう呼びかけたそうです。昨日先輩が私に言ったように「早くっ」と。何も知らない先輩でしたが、短髪の鞄も持って、慌てて外に出たそうです。
昨日は先輩も私も見えないタイプなので見えませんでしたが、また脚だけ入って来たに違いないと先輩は言いました。
暫くの間出勤するのが怖かったのですが、何も起こりませんでした。
その後、例の奥さんに性悪いことを言われ、給料も半分しか貰えず、私も泣きながら店を辞めました。就労店舗で貸与された制服がわりのエプロンを、電車で25分ほどの所にある本店まで返しに来いと言われましたが(先輩によると、奥さんは私に文句を言ってやろうと待ち構えていたそうです)、就労店舗に母が持って行ってくれました。今思い出しました。奥さんが居たら、文句言ってやろうと母は決めていました。
そののち、同級生の友達に「先に言えば止めたのに!」と言われたのです…。彼女も泣いて辞めたそうです。
メインは消えた脚の件ですが、祖母の言っていた「生きている人間の方が怖い」という言葉の方が正しいよう
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