
俺の友人は若手映画監督で、過去に一度だけ小さな映画祭で賞を取ったが、その後は全く評価されていない。最近は新たな作品を作るも、どれも失敗続きで、資金も底をつき、精神的にも追い込まれていた。
そんな彼がある日、評判の占い師の元へ行くと言うので、俺もついて行くことにした。
「僕の映画が再び注目されるようになることはありますか?」友人が占い師に必死で尋ねた。すると占い師は、ただ一言、こう告げた。
「近い未来、必ずや注目を浴びるでしょう」
友人はその言葉に目を輝かせた。「本当に?」
「今のままでは、すぐにあなたの名前が広まることになる」占い師は真剣な表情で続けた。久々に友人の嬉しそうな顔を見た。
その後、占い師の言葉通り、友人の映画が世間の話題となった。SNSやニュースサイトで彼の名前が飛び交い、映画が大ヒットしたとの報道もあった。しかし、彼がそのニュースを知ることはなかった。なぜなら、彼はその日の夜、自らの手で命を絶ってしまったからだ。彼の名前は、彼の死と共に広がってしまったのだ。彼の作品は、彼が生きていた頃には理解されなかったが、死後に多くの人々に評価されることになった。彼の望んだ名声は、結局彼自身を引き裂く結果となってしまったのだ。
彼の名が再び世間に知れ渡ったのは、彼がこの世にいないからだった。あの占い師の言葉は、何を意味していたのだろうか。彼は何を知っていたのだろうか。俺はその答えを探すこともできず、ただ虚しく彼を思い出していた。自らの名前が、彼のように広まることは、決して望んではいけないのだと。
そう、思い知ることとなった。
占いの結果は、時に恐ろしいものだ。
それが現実となる時、果たして誰がその影響を受けるのか。
名声は、時に命よりも重いのだ。
それを知った時、俺は背筋が凍る思いをした。彼の名は、彼の死によって広まってしまったのだ。
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