
長編
知らない御堂
匿名 3日前
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いうか、気味悪さというか・・・とにかく変な感覚だった事を覚えている。
視界が悪くて確かではないが、恐らく30mくらいは進んだと思う。段々に川の音が近くなるつれ気持ちが昂り、進む速度も早くなった。
そしてやっと草を抜けると、そこには幅2.5mくらいで川底が見えない程の深みの理想通りの川があった。
喜びと同時に何故か「子供が落ちたら大変だな」と思った。
この時自分には子供も居なかったが、何故かそんな考えが頭を過ぎった。
釣り道具を持って来ようかと思っている時、ふと右後ろを見ると、私の立っている位置から5mくらい先にポツンと御堂があった。
7、8段くらいの石造りの階段をあがると両脇に狛犬が2体。
その奥に御堂がある。御堂は正面以外の三方を高い傾斜に囲まれていて、私が今立っている位置からでないと見えないような配置だった。
そしてなんというか・・・上手く言えないが寂しそうな雰囲気の御堂だった。
まだ昼前なのに、寒くてなんか薄暗く感じた。
不気味さも感じつつ、趣きのある御堂を近くで見ようと石造りの階段をゆっくり一段、二段と上がる。
階段を上がりきって狛犬を見ると、開いた口の中にお賽銭?が入っていたが、狛犬の全身に蜘蛛の巣が張っていたので、暫く人は来ていないのではないかと思った。
しかも狛犬に1匹ナメクジが這っていて少し不気味だった。
御堂は高さ3m、横幅4mくらいだったと思う。
近付くと木の質感とか痛み具合、板に書かれた御堂の名前の文字、言葉に出来ないがとにかく古めかしい。
中に何が入ってるか気になったが、開ける度胸はなく、じっくりと御堂の周りを一周してみた。
また正面に戻ってそろそろ釣りをしようと思い、記念に携帯電話で御堂の写真を撮った。
その辺から無性に寒気がしてきて、なんだか怖くなって来たので、御堂から離れようと思い少し急ぎ足で階段を降りたその時、軽くパニックになった。
階段の一段目に虫かごとピンクのポーチが綺麗に並べて置いてあった。
虫かごは透明の四角いプラスチックに青い蓋で、中には緑の水が溜まっていてボウフラが無数にわいている。
ピンクのポーチは砂埃で汚れていて、キャラが描いてある様だったが認識する余裕はなかった。
いずれも小さい子が持ち歩くような物だった。
私が階段を上がって来た時は確実に無かった。
もしあったら跨いで避けていたはず。
でも砂埃まみれのポーチ、ボウフラがわいた水入りの虫かごを持ち歩く子供
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- 私も過去似たような経験があるので面白かったです。温泉宿