
短編
幽霊の規則性
匿名 2015年12月12日
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幽霊にも規則性というかカテゴリーがあるらしい。
大まかなカテゴリーとしては呪いを孕もうとして霊となった者と予期せずして霊となった者の二種類。
良く語られる霊は後者の霊。
死んだときに強い後悔や未練の結果として霊になったり死んだことを信じられず霊になったり霊になっても土地に縛られたり途方に暮れたりしている連中が後者にあたる。
後者の霊はたまに強い呪いを孕むことがあるが、その呪いの源泉は人の噂にある。
人が噂をし、その霊とは直接関係のないことでも、噂が一つの形式を持ち、一つの現実となり、そして、いつしか霊自身も噂に影響され、噂そのものになっていく。
稀ではあるが、そういう類いのものもいる。
結果的に霊になった者は大抵世に大なり小なり理由があって死にきれずに停滞している大したことのないものたちだ。
問題は前者の方だ。
彼らは例外なく、人を呪う、社会を呪う、業を成すために呪う、そうした者になる。
目的は別にあったにせよ、生きている内に目的のための手段が目的へと変化し、その手段が愉悦となってしまった者たち。
そういう類いの亡者は生死をさまよう中で自身の存在意義のためだけに怨霊となる。
結果的にこの世に停滞して霊となり、霊となってから目的を得るような後者とは根本的に異なる存在。
そういうモノはほぼ確実に危険なものだ。
生理的に受け付けられない怖気のようなものを感じたら、そうした忌み地には近寄らないことをおすすめする。
大抵、ろくなことにならないからだ。
そう知り合いから聞いた。
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