本当にあった怖い話

怖い話の投稿サイト。自由に投稿やコメントができます。

長編

深夜喫茶「二杯の珈琲」

まなみ 3日前
怖い 438
怖くない 372
chat_bubble 9
17,731 views
行って下さいねって。嬉しかったな~」 老人の言葉に、お婆さんがコクリと頷いた。 「店長が……」 いつもどこか抜けてて、のほほんとしている店長だが、なるほど、中々良いとこもあるんだなと、素直に思った。 「この席に座って、窓の外を眺めるのが好きだった。今背広を着た男の人はどこに行くんだろう、あの泣きそうな女の子は、彼氏と喧嘩でもしたのだろうか?なんて、通りすがる人達の物語を勝手に紡いでは、その思いに浸ったりしてね」 どこか物悲しい目で、老人は窓の外に目を這わせている。 この窓の外にも、俺の知らない風景が広がっていたのだろうか? その時代に生きた人々、その時代にしかない景色。この老夫婦はきっと、数え切れないほどのそれらを、ここで、この席で見てきたのだろう。 俺は老夫婦に静かに頭だけ下げると、そっとその場を離れた。 あの二人の特別の時間を、何だか俺なんかが邪魔しちゃいけないような気がして。 補充を終わらせカウンターまで戻ると、俺はどこからともなく、視線を感じた。 厨房にいる相方ではないのは確か。だとすると残りは…… カウンター斜め向かい側、この店の一番死角にある席。そこは、深夜の常連客、通称メロンちゃん(メロンソーダばかりを頼む為、バイト仲間の間で勝手に名づけたあだ名)の特等席。 振り向くと、やはりだ。大きな眼鏡から覗き込む瞳が、俺の方をじっと見つめている。 相変わらずの無表情。せっかくの美人が台無しですよと、いつか本人に言ってやりたい。 「えと……何か?」 気になり声を掛けてみた。すると待っていましたと言わんばかりに、メロンちゃんは口を開く。 「何を、話してたんですか?」 「何をって?」 さっきの老夫婦の事だろうか? 「ああ、もしかして窓側のお客さんとの?」 俺がそう言うと、メロンちゃんは返事もせず俺を見ている。 なんなんだ一体。 「えと、あの二人、昔ここの常連客だったみたいで、」 そう言い掛けた時だった。 「いやあ、先ほどは邪魔してすまなかったね。年寄りの与太話につきあわせちゃって」 さっきの老人だった。どうやらお帰りのようだ。 俺は急いでレジに移動した。その際、老人の方にふと目をやった時だった。 あれ? 「お連れの方は?」 一緒にいたはずのお婆

後日談:

  • 深夜喫茶「見えない交渉」、「徘徊者」等他作品と合わせてお読み頂ければこれ幸いです。 ダラダラと怪談投稿させて頂いております。まあこういった話は好き嫌いあるでしょうが、生暖かい目でスルーしてやって下さいませ。

この怖い話はどうでしたか?

f X LINE

chat_bubble コメント(9件)

  • イイ話です、
    ハオ
  • 良い話だなぁと思ったら最後の生暖かい目で笑ってしまった。(*´∇`)
    バターオイル
  • 読みやすくて面白かった! 「本当にあった」と謳っているところだから、どうしてもそこを突くコメント多いけど、どれも事実かどうかは確認出来ないのだし。 この話は面白かったから、また読みたいです。
    するめ、
  • 生暖かい目って(笑)
    ぴょん吉
  • いい話だけど作りもの感が漂う!
    匿名
  • とても良い話ですよ^^
    うんこりん
  • コオリノさんの他のお話しも拝読。 匿名さん同様、私も実話ではなく小説かなと思います。
    レオ
  • 面白い。シリーズものなんだね。というか実話ではないとかどこにも書いてないけどw
    ろん
  • 事実ではなく。作品(短編小説)なんですね。
    匿名
0/500

お客様の端末情報

IP:::ffff:172.30.1.243

端末:Mozilla/5.0 AppleWebKit/537.36 (KHTML, like Gecko; compatible; ClaudeBot/1.0; +claudebot@anthropic.com)

※ 不適切な投稿の抑止・対応のために記録される場合があります。

grid_3x3 話題のキーワード

search

サクッと読める短編の怖い話 サクッと読める短編の怖い話

読み込み中...