
長編
深夜喫茶「二杯の珈琲」
まなみ 3日前
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事ができた。
店長曰く、昔よく店に来てくれていた常連客がいたらしいのだが、
昨夜、昏睡状態のまま、亡くなったらしい。
奥さんを癌で亡くしたばかりで、かなり塞ぎこんでいたらしく、ここ最近心配していた矢先の事だったとか。
店長は通夜に行く準備をする為、今日は少し出勤が遅れるとの事だった。
次の日、
その日の夜。俺はいつもにように、深夜帯の夜勤についていた。
客は一人、メロンちゃんだけだった。
俺は珈琲を二杯入れると、窓側の席に向った。
「何を、しているんですか?」
声の方に振り向く。メロンちゃんだった。席を離れ、すぐ隣まで来て、俺の顔を見上げている。
「珈琲、お代わり入れるって約束したから……」
そう言って俺は、昨夜老夫婦が座っていたテーブルに、珈琲カップを二つ、そっと置いた。
「何か意味があるのですか?」
相変わらずの無表情な顔で、メロンちゃんが言った。
意味?意味など無い、ただ、
「そうしたいだけ。俺の気が晴れるだけさ……」
そう、理由など無い。理由など要らない
美味しい二杯の珈琲と、大好きな景色がそこにあれば、それでいいじゃないか。
その日メロンちゃんは、昨夜老夫婦が座っていたテーブルに座りなおし、誰もいないはずの席で一人、見えないはずの何かと、外の景色を眺めながら、朝まで過ごした。
後日談:
- 深夜喫茶「見えない交渉」、「徘徊者」等他作品と合わせてお読み頂ければこれ幸いです。 ダラダラと怪談投稿させて頂いております。まあこういった話は好き嫌いあるでしょうが、生暖かい目でスルーしてやって下さいませ。
この怖い話はどうでしたか?
chat_bubble コメント(9件)
- イイ話です、ハオ
- 良い話だなぁと思ったら最後の生暖かい目で笑ってしまった。(*´∇`)バターオイル
- 読みやすくて面白かった! 「本当にあった」と謳っているところだから、どうしてもそこを突くコメント多いけど、どれも事実かどうかは確認出来ないのだし。 この話は面白かったから、また読みたいです。するめ、
- 生暖かい目って(笑)ぴょん吉
- いい話だけど作りもの感が漂う!匿名
- とても良い話ですよ^^うんこりん
- コオリノさんの他のお話しも拝読。 匿名さん同様、私も実話ではなく小説かなと思います。レオ
- 面白い。シリーズものなんだね。というか実話ではないとかどこにも書いてないけどwろん
- 事実ではなく。作品(短編小説)なんですね。匿名