
長編
先に住み憑いて居た者③
しの 3日前
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開けて、お風呂場から引き戸を確認しましたが既に消えていた様です。
母「S。居ないからトイレ流しなさい」
私「はい…汗」
トイレを流してドアを閉めると三人で手前の六畳に戻りました。
M「何処に消えたんだろ…」
Mのお母さんは奥の六畳の半分開いた襖の奥を黙って見つめて居ます。
母「居るね。あっちの部屋に…」
私は心臓が口から出るんちゃうか?位バクバクして居て息苦しい位でした。
母「M。塩ある?」
M「待って!」
Mは台所の戸棚から粗塩の袋を持って来て、お母さんに渡しました。
お母さんはMから塩の袋を受け取ると、スッと立ち上がり開いている襖の奥目掛けて粗塩を撒きました。
途端に「ふふふふっ…」と言う女の笑い声がしました。
私は腰が抜けて、その場にへたり込みました。
Mは立ったまま、襖の奥を睨み付けて居ます。
母「あんた、もう死んでるんだよ。いつまでもこの世に居たら上に上がれなくなるよ!」
「ふふふふっ…」
母「何が可笑しい」
「ふふふふっ…そんな物効かないよ」
(何が効かないんや?)
母「塩なんて効かないってさ。どっか行ったね。多分今日はもう出ないから寝なさい」
(いや…寝れんやろ…普通の神経やったら)
M「解った。寝よう」
(寝れるんかい!)
ベッドに戻るとMは直ぐに寝息を立て始めました。
(ホンマに寝よった!頭おかしい!)
私はその後一睡も出来ぬまま、朝を迎え家に帰りました。今後二度とあのアパートには近づかん!と、固く心に誓って。
Mはそれからあのアパートに3年も住み続けました。Kさんの浮気が発覚して離婚するまで。
3年の間、毎晩の様に女は現れMに「出て行け。ここは私の部屋だ」と言い続けて居たそうですが、M曰く「毎日続くとさ、人間って不思議なもんで慣れるんだよ笑」
(そんなもんに慣れた無いわ!)
Mと言い、Mのお母さんと言い、一体何者なんやと益々意味が解らなくなった体験でした。
MとMのお母さんに巻き込まれて、この後私も結婚するんですが、まだまだ色々体験して居るのでそれは又の機会にお話します。
この怖い話はどうでしたか?
chat_bubble コメント(9件)
- もし、このまま10年とか住んでたらどうなっていたんだろうつばさ
- おもしろいーココナッツ
- まいさん。コメントありがとうございます。 怖くしようと脚色したく無いので、そのままで書いてます。mie
- こたくんさん。コメントありがとうございます。いつも読んで下さりありがとうございます。mie
- 匿名さんコメントありがとうございます。 難しいでしょうね。特に執着してると。mie
- 匿名さんコメントありがとうございます。 難しいでしょうね。特に執着してると。mie
- 話し方で 怖さがないかもまい
- あ〜面白かった! またお願いします!こたくん
- 幽霊を追い出すことは、なかなか難しいようだ。匿名