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長編

マネキン

匿名 6時間前
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たが、何だか抑揚のない口調でした。 その大して嬉しそうでもない言い方が、よけいにぞっと感じました。 「ようこそいらっしゃい」と言いながら、トレーにケーキと紅茶を乗せたおばさんが入ってきて、 空気が救われた感じになりました。 私と同じく場をもてあましていたのでしょう、S子が手を伸ばしお皿を座卓の上に並べました。 私も手伝おうとしたのですが、お皿が全部で4つありました。 あれ、おばさんも食べるのかなと思い、ふと手が止まりました。 その時、おばさんがケーキと紅茶のお皿を取ると、にこにこと笑ったままF美の机の上に置きました。 そこはマネキンのすぐそばでした。 とんでもないところに来たと私は思いました。 服の中を自分ではっきりそれとわかる冷たい汗が流れ続け、止まりませんでした。 F美はじっとマネキンのそばに置かれた紅茶の方を凝視していました。 こちらからは彼女の髪の毛しか見えません。 しかし突然前を向いて、何事もなかったかのようにフォークでケーキをつつき、お砂糖つぼを私たちに回してきました。 私はマネキンについて聞こうと思いました。 彼女たちはあれを人間扱いしているようです。 しかもケーキを出したり服を着せたりと、上等な扱いようです。 ですが、F美もおばさんも、マネキンに話しかけたりはしていません。 彼女たちはあれを何だと思っているのだろう?と考えました。 マネキンの扱いでは断じてありません。 しかし、完全に人だと思って、思い込んでいるのだとしたら、 『彼』とか『あの人』とか呼んで、私たちに説明するとかしそうなものです。 でもそうはしない。 そのどっちともとれない中途半端な感じが、ひどく私を不快にさせました。 私がマネキンのことについて尋ねたら、F美は何と答えるだろう。 どういう返事が返ってきても、私は叫びだしてしまいそうな予感がしました。 どう考えても普通じゃない。 何か話題を探しました。 部屋の隅に鳥かごがありました。 マネキンのこと以外なら何でもいい。 普通の学校で見るようなF美を見さえすれば、安心できるような気がしました。 「トリ、飼ってるの?」 「いなくなっちゃった」 「そう・・・かわいそうね」 「いらなくなったから」 まるで無機質な言い方でした。 飼っていた鳥に対する愛着などみじんも感じられない。 もう出たいと思いました。 帰りたい帰りたい。

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  • 知ってる
    まい
  • 怖すぎる!!幽霊とかより怖い家族ですね。実際に見たら気絶しそうな光景ですね。
    うんこりん
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