
「喜びながら自害する人って、実際いると思いますか?」
僕は、そう思うんです。実は、僕もその一人でした。
あれは、ずいぶん前の冬のことです。高層ビルの一室で働く若手クリエイターとして、納期に追われる毎日。朝から晩まで椅子に座り、帰宅後はゲームやネットに没頭し、生活は乱れていました。
そんな日々が続く中、徐々に心が壊れていく感じがしました。
ある晩、寝室で目を閉じていると、突然、ドアチャイムが鳴りました。「ピンポーン」。
急いでドアを開けても、誰もいない。さらに、シャワー中に携帯が鳴る音も聞こえ、部屋に戻ると、誰からの電話もない。これが、日常の一部になっていました。
そして、最も恐ろしい夜が訪れました。目を閉じていると、天井からまるで落ちてくるように、巨大な昆虫が僕の顔に落ちてきたのです。何かの夢かと思い、慌てて飛び起きると、そこには、枕の上で動かない昆虫が。顔は青ざめ、恐怖で叫び声を上げました。
でも、よく見ると、そこにいるはずの昆虫はどこにも見当たらない。僕は、夢と現実の狭間にいるのかと冷静に考え始めました。あの昆虫は、見たこともないほど巨大で、まるで映画『エイリアン』のクリーチャーのようだったのです。
現実には存在しないはずのものに、なぜか気付いてしまった。自分は幻覚を見たのだと考え、再び眠りにつこうとしました。しかし、興奮は収まらず、そのまま朝を迎えてしまったのです。
朝の6時、起きる準備をしようとすると、身体に異変が。横向きに寝ていた僕は、顎を動かした瞬間、「カツン」と音がしました。前日に歯医者で治療を受けたばかりの歯が、下の歯にぶつかって口が閉じられない。どれだけ力を込めても、口は閉じられません。これがまた、深い不安を呼び起こしました。
心は高ぶり、身体は重く、まるで小さな蟻に囚われたような感覚。太陽の光が差し込む中、外は静まり返っていました。部屋の中は白く、不安感が胸を締め付けます。僕は、自分の魂が体の中で飛び回っているような気がしました。
「このまま、高層ビルの屋上から飛び降りれば、すべてが解決するのかもしれない」と思い至りました。顎が閉じることも、心の苦しみも、すべてが解消されるのだと。高いところからの飛び降りに、なぜかワクワクしている自分がいました。
しかし、運命は僕を試すかのように、ビルにはエレベーターがなく、階段を上ることができない。疲れた身体は動かず、結局、部屋に戻り、床に倒れ込みました。
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