新着 短編
庭の影の話

友人のT子さんから聞いた話です。
T子さんには今6歳になる女の子がいます。
その子が最近、バルコニーで遊ぶのが好きで、T子さんがちょっと目を離すと、どこかに隠れてしまうのです。
子供なので、椅子の後ろや、物置の陰など見つけやすい場所ばかりです。T子さんも、「どこに行ったのかな?」と少し探すふりをして遊んであげていたそうです。
ある晩、洗濯物を取り込むためにバルコニーに出ると、また女の子が見当たりません。
またか、と思いつつ周囲を見回すと、バルコニーの隅にある風鈴が、強風でもないのに微かに揺れていました。
T子さんは笑いながら「また隠れているのかな」と思い、盛り上がった風鈴を見ていると、どこからか「見つけたよ」と女の子の声が聞こえてきました。
え?と思って目を凝らすと、「ここだよ!」と声がするのは、物置の中からでした。
じゃあ、あの風鈴のところにいるのは?
T子さんは、少し待っててね、と女の子に声をかけ、懐中電灯を手に取り、物置に近づきました。
その風鈴は今も揺れ続け、何かの気配を振りまいています。
サッと扉を開けると、中には誰もいませんでした。
しかし、冷たい空気の中、何かが彼女の耳元で囁いているような感覚がしたそうです。風鈴の音は、しばらく響き続けていたそうです。
その夜、女の子は不安そうに眠りにつき、「ママ、またあの子が来るの?」と尋ねたとか。
T子さんはその後、風鈴を外したそうです。彼女は、一度もその声を聞くことはなかったと言います。
1 / 1
後日談:
後日談はまだありません。
この怖い話はどうでしたか?
chat_bubble コメント(0件)
コメントはまだありません。



