
長編
普通車
ハンさん 5日前
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すよ。」
事務所のドアが開き、整備が終わったことを店長の息子らしい整備士が伝えに入ってきた。「何も異常はありませんでした。オイルだけ交換しときましたから」と額の汗をつなぎの袖で拭いながら言った。「もう少し乗っていただけませんか。」と店長が続ける。「私は今までそういった類の話に縁がなく自信がありません。」というと、「あなたは大丈夫。一ヶ月もこの車に乗っているんですから。他の方は・・・・・・」と言うと預けた車のキーを私に差し出してきた。私は「何でこんないわく付の車に乗らなければならないのか」という気持ちより「この子供達がなぜ亡くなり、この車に以前として思いを残しているのか」を知りたいという気持ちの方が強くなってきました。ふーと息を吐き出し「分かりました」とキーを受け取り「何かあったら連絡します。」とだけ言い残し車を出しました。
それから数週間は何事もなく、むしろ快適に運転は続けていました。会社内では「う○こ車」(おそらくにおいのせいだと思います)と先輩達からはからかわれましたが、業務に追われ、次第に車の話題すらでなくなっていきました。私も「この車のことを知りたい」と思っても調べる手段を持ち合わせておらず、唯一分かったことは子供向けの音楽CDはちゃんと聴けるということでした。これは、当時の私の彼女が保母さんの仕事をしており、彼女の仕事道具から拝借して試しに再生してみて分かったことです。一連の話を聞いて知っている彼女は「やっぱり子供はユニコーンより童謡を聴きたいんだよ」と笑っていました。
事の真相を知るのは、それから約半年後のことでした。通勤時には車に乗るときに「おはよう」、運転中は童謡を再生し、耳にイヤホンで別の音楽を聴き、帰宅時は「また明日な」と言って車から降りることが日課となっていました。そんなある日、仕事が予定より早く終わり、夜に彼女と食事の約束をしていたため4時間ほどぽっかり時間が空いてしまいました。「ベルセルク」も「エアマスター」も最新刊まで読み終えてしまっていた私は、大学時代に少しかじっていたパチスロで時間を潰そうと思いました。何年かぶりにパチンコ屋に入店すると、大学生時代には見たこともなかった最新の台がずらりと並んでいました。知識もない私は適当に台を選び、隣の人の挙動を見ながらプレイしていました。ビギナーズラックとはよく言ったもので、よくわからないうちに台が騒がしくなり、コインがあれよあれよという間に増え
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- 悲しい話かよけい
- 悲しい話ですね。子供達が不憫でしょうがないです。大変だとは思いますが、どうかこれからもその車を可愛がって乗って欲しいですね。うんこりん
- 子供たちが不憫で可哀想で 涙がこぼれた…手厚く供養をしてあげたのかな…霊子
- これ映画にしてほしいわ…匿名
- 自分も、2児の親ですが泣けました。子供に関する事件や事故がなくなってほしいと、心から、思います。菊やス
- ごめん、長すぎて疲れたポイント
- 怪談話かと思ったら、、泣けました
- むっちゃ泣ける…今でもその車に乗っていますか❓ゆうさまあ
- 皆、この話読んでね!らら
- 泣けるなぁ…カカロットEX