
長編
普通車
ハンさん 2015年5月2日
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となので、漫画喫茶で時間をつぶそうと慣れない先輩の車を走らせました。
漫画喫茶に入ってまだ5分。大好きな「ベルセルク」を読んでいると、先輩からの電話で壮大なファンタジーの世界から現実に戻されました。先輩からの携帯の着信を見た瞬間、言い知れぬ不安が胸の中を満たしていくのがわかりました。電話にでると開口一番「これどういうこと?」「臭いし、まっすぐ進まんし」とかなり焦っている様子でした。とりあえず「すいません!」と謝ってから詳しい状況を聞きました。先輩から聞いた状況によれば、女の子の一人がいわゆる(感じとれる人)らしく「頭が痛い」、「何かいるみたい」と言い出したそうです。すると車内に吐き気を催すにおいがしてきて、もう2人の女の子がいきなり、まだ飲み物の入った袋に嘔吐し車内がパニック。どこか停車するところを探しているとハンドルが左右に大きくぶれだしたそうです。何とか付近のコンビニに停車し電話をかけているとのことでした。「すいません!すいません!」とがくがくとする膝でなんとか姿勢を保ちながら謝り続けました。「とりあえず、俺たちは女の子をタクシーで病院に連れて行くから。お前の車はここに置いとくぞ。」と不機嫌な声。切る間際に何とか詳しい場所を聞き、今きたばかりのアイスコーヒーを喉に流し込みその場所に急ぎました。私の心の中は「なぜ?」と「(先輩達に)申し訳ない」という気持ちで完全にいっぱいでした。
コンビニに到着すると、先輩の一人が車の側でタバコを吸っていました。車を降り、また「すいません。」と謝りながら近づきました。先輩は深く吸い込んだタバコの煙を吐きながら「何なんだ?この車?」と憔悴したような声で言いました。私は、以前にもそういう現象があったことと、最近は全くなかった為大丈夫だろうという思いでお貸ししたことを説明しました。「もういいよ。デートは台無しだけど、幸い女の子達も軽い症状らしいから。」そう言って私の車のキーを差し出しました。「また月曜日に会社でな」そう言うと、私から先輩の車のキーをもぎ取り猛スピードでコンビニから出て行きました。
駐車場に残された私は、自分の車を怒りと恐れの気持ちで眺めていました。「先輩に迷惑をかけた」という怒りと、「何かいるみたい」という言葉への恐れ。しかしこのときは怒りの気持ちが勝り、ドアロックを解くと勢いよくドアを開けました。車内はまだ少し女の子の吐しゃ物のにおいが残っていましたが、この日のため
この怖い話はどうでしたか?
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- 悲しい話かよけい
- 悲しい話ですね。子供達が不憫でしょうがないです。大変だとは思いますが、どうかこれからもその車を可愛がって乗って欲しいですね。うんこりん
- 子供たちが不憫で可哀想で 涙がこぼれた…手厚く供養をしてあげたのかな…霊子
- これ映画にしてほしいわ…匿名
- 自分も、2児の親ですが泣けました。子供に関する事件や事故がなくなってほしいと、心から、思います。菊やス
- ごめん、長すぎて疲れたポイント
- 怪談話かと思ったら、、泣けました
- むっちゃ泣ける…今でもその車に乗っていますか❓ゆうさまあ
- 皆、この話読んでね!らら
- 泣けるなぁ…カカロットEX