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中編

でていけ…

2020年3月27日
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実話です。 私が中1に引っ越してから結婚するまで住んでた家はかなり古い日本家屋で、私はその家でしょっちゅう金縛りにあっていた。 ちなみに家族にはいっさいそういう体験はない。 わたしが金縛りにあうときは、時間は関係なく、寝ているとふと目が覚めて、耳鳴りがしたり、ついてないテレビ番組の声が聞こえたりして、足が動かない。(あ、またきちゃったよ。金縛り)と、すぐわかる。 わたしの金縛りのときかたは、かかりそうになったらとにかく頭を左右にふりまわして、渾身の力でえいやっ!とおきあがる。その時のキツさは言葉では言い表せない。間髪いれず次の金縛りがくる前になんとか部屋の明かりをつけて、荒い呼吸が収まるまで、やりすごす。 たまにかかってしまうときは必ずなにものかが身体に触れてきて、のっかかってきて、身体中をしめつけてくる。かなり苦しい。私は怖いので絶対に目はあけない。でも触覚ははっきりかんじるので、時々わたしの手だけが動くとき、その何かの手首や腕らしきものをつかんで確かめてみる。その感触は本当に生きた人間としか思えないほどリアルな感触だ。それでもなんとかいつものように頭を左右にふりまわして、渾身の力でえいやっ!と何回か繰り返すとなんとか起き上がり金縛りはとける。 ただ、一度どうやっても金縛りがとけないときがあった。 そのときは夕方で、私は1階の私の部屋のベッドでウトウトしていた。 ふと目が覚めて、いつものごとく耳鳴りがして、足が動かない。(また金縛りかぁ~、しんどいなぁ)と思いながらもいつものように頭を左右にふりまわして、力を入れた。でもどうやっても動けず、何回やってもどうしてもとけない。 そのうちに部屋の中から何かのざわざわとした声が聞こえてきた。何を言ってるかはわからないが、とにかく複数いる。そしてまた身体中をしめつけてくる。複数にしめつけられているようだった。 怖かったが、このときは状況が知りたくてうっすらと目をあけた。目の前に写ったのは、ベッドの前の窓につるしてある白色のカーテンだった。窓もドアもしめてあり、風もないのにそのカーテンが大きく揺れた。そして窓とカーテンの隙間に人がかくれてるように、カーテンに人の形の線が浮かび上がってきた。もちろんだれもかくれてる人などいない。 そのうちカーテンの人の形がだんだん立体的になってきて、石膏のヴーナスのような綺麗な女の姿がカーテンにうかびあがった。その女が指をまっすぐ差しながら何かを言っている。「……て…け」「……こ…か……て…け」とか聞こえる。はっきりわかった。「ここから出ていけ」と言っていた。 私は結局金縛りがとけないまま、そのまま眠ってしまったようだ。起きたときにはなにもなかった。 やはりその家は私たちにた出ていって欲しい何かがいるようだ。以前、電気スタンドを見えないだれかに投げつけられたときからかんじではいたが。 家族はそういう話は一切信じないので、私の体験は話していない。 その家に前に何かあったとかの話はきかない。 ただ、旗ざお地という立地の悪さや、じめじめしてて、薄暗くて、すぐ横に溝などの水があるような家は霊が集まりやすいのかもしれない。 それでも私は金縛りと格闘しながらも結婚するまでその家にすみつづけた。 私が結婚してその家を出るときに実家もちょうど新築の家に引っ越した。もっと早く引っ越してほしかったなー。

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