。するとしばらくして、手が動きました。 同時に目も開き、私は素早くベッドから降りて電気を付けました。そこにあるのはいつもの部屋でした。 結局、あの音の正体はなんだったのか、今でも分かりません。 それからしばらくして、私は地元に帰省しました。 友人たちと集まった時、Aさんの話になりました。 「お通夜行けなかったよ。」 「私も。でも黙祷だけはしたよ。」 そんな話をしていると、友人の内の一人がAさんが亡くなった事故について話してくれました。 夜に土手を走っていた時、対向車を避けようとしてハンドルを切りすぎてしまい、そのまま川に車ごと突っ込んだそうです。 Aさんがハンドル操作を誤ったのか、それとも対向車がセンターラインをはみ出したか……。友人もそこまで具体的な状況は詳しく知らないようでした。 対向車に乗っていた人は無事だったらしく、男性で、市内で働く若い会社員の方だったそうです。