
高校生の俺は、いつも急行に乗って登校している。自宅も高校も最寄り駅は急行の止まる駅だった。
急行は一番混むとはいえ、各駅停車だと遅すぎるし、準急だと一部区間が各駅停車なのでやはり遅い。
さらに高3になる春のダイヤ改正で、ラッシュ時の急行の大部分が準急に変更になった。
ただ俺のいつも乗っている列車は今まで急行で1本あとからは準急になっていた。
そのため、朝は時間に気をつけて準急に乗らないようにしていた。
因みに俺が家を出る時間は、準急や各駅停車に乗ったとしても遅刻にはならない。
ある日、駅についていつもの急行を待っていると、ホームの壁側にお婆さんがいて何か呟いていた。耳を澄ますと
「ジュウキュウ、ナノレ・・ジュウキュウ、ナノレ・・」
俺はお婆さんの独り言を解読しながら、
「19、名乗れ??」
なんだろうと首を傾げながらも、そのあと急行電車がホームに入ってきた。
俺は電車に乗ろうと歩き出した次の瞬間立ち止まった。
後ろに並んでいた客は俺をよけて電車に乗っていった。
俺はお婆さんの独り言が
「準急に乗れ」
と言ったと悟り、急行に乗ることにすごい抵抗があった。
そして後からきた準急電車に乗った。
準急電車はやや遅いとはいえ、急行ほど混んでなく意外と快適だった。
だから「準急に乗れ」って言われたのかなって思ったその直後!
準急電車が駅間で止まった。
しばらくして車内放送があり、
「前を走っております急行電車でお客様同士のトラブルがあり・・」
放送が流れて電車はずっと止まっていた。
その頃、急行電車の中では車内の男が暴れて他の乗客を無差別に襲いかかり、それは酷い状況だったという。
それは、いつも俺が乗る急行電車のよく乗る号車での出来事だった。
あのときのお婆さんには、何かが見えていたのだろうか。
・・・
・・
(この話はフィクションです。実際にあった事件とは一切関係ありません。)
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