
数年前、冬の旅行に出かけた時のことです。友人が予約してくれた山荘は、外観が古めかしい洋館のような印象でした。
中に入ると、長い廊下と階段が複雑に絡み合っているのを感じました。宿の人に尋ねると、10年前に改装したためにこんな風になってしまったとのこと。
部屋に通され、少し休んだ後、私は早速温泉へ向かいました。広々とした露天風呂に一人で入ると、湯気で周囲がぼやけ、少し不安な気持ちになりましたが、こんなに贅沢にお風呂を楽しめるのは久しぶりです。じっくりと温まった私は、電気が点滅する脱衣所で浴衣に着替え、スリッパの音を響かせながら階段を上がり、部屋に戻ろうとしました。
しかし、部屋が見つかりませんでした。階数を間違えたのかと思い、下に降りてみましたが、なぜか宿の番号の部屋が見当たらないのです。改装で複雑な作りになっていると聞いたので、迷ったのだろうと思いながら進んでいると、エレベーターを見つけました。
しかし、「故障中」という張り紙が。一瞬、途方に暮れていると、背後からスタッフの男性が現れました。彼は山荘の制服を着ていて、30代くらいの見た目でした。「お客様のお部屋は階段でしか行けないんです。戻ってください」と言われました。部屋番号を言うと、戻る道を教えてくれました。
翌朝、チェックアウトの際に、昨晩湯上がりに迷子になってしまったことを話すと、宿のスタッフは驚いた様子でキョトンとしました。「うちは家族経営で、男性は60代の父だけです」と言われたのです。
あの男性は一体誰だったのか、今でも思い出すと背筋が凍ります。彼が私の行動を知っていたこと、そして温泉の後に現れたことを考えると、何か恐ろしいものが私を見ていたのかもしれません。彼の姿は今も鮮明に記憶に残っています。恐怖は、決して消えないのです。彼はどこにでもいるような、でも決しているはずのない存在でした。彼が私を見ていたのか、ただの影だったのか、今も謎のままです。
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