
それから、わずか数か月後のこと。
俺の勤めている会社が、同業のより大きな企業に買収されることになった。
元の会社の社員は、採用面接を全員行い試用期間を経て新会社の正式採用となる。
基本的には余程の問題がない限り採用されるはずなので気楽に構えてよいはずだったのだが・・。
そして、面接の日が来た。
スーツを着こなし社長室の前で待つのは、就活のときを思い出す。
そして、ノックして礼をし面接へ。
面接官は、新会社の社長と役員の男性2名だった。
はじめは、志望動機や実績などを聞く一般的な面接だった。面接時間の半分くらいを過ぎた頃、社長は急に低い声になり
「ところで、私の娘が以前お世話になったと聞き感謝しております。」
俺は、社長の娘って?と首を傾げていると、
「私の苗字を聞いてお分かりになりませんでしたかな?△△ さおりですよ。」
俺は、凍りついた。
「履歴書を見るとあなたは結婚されているようですが、私の娘に手を出すとはどういう了見でしかな?まして娘とあなたは教育実習で出会い、今年になって再会して、そしてことに及んだそうではありませんか。それが、一時は教師を志した人間のすることですか?」
社長の声のトーンが段々と厳しくなり、もう一人も厳しい目で俺を見た。
「このご時世、あなたの年での再就職は容易ではなく、かつあなたには家庭もある。それでも我が社で引き続き雇用するということは、どういうことか肝に銘じて頂きたい。」
そして面接が終わった。
俺は手汗をかき、心臓がずっと高鳴っていた。
その後、俺は新会社への採用が内定し、新しい部署も決まった。
そしてそれは、家族や生活の安定と引き換えに定年まで酷使される奴隷契約でもあった。
・・
(完)
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