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助けを求める女
中編

助けを求める女

おうぎょく 2016年10月1日
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今年の年始だったんだが、夜に歩いて三分のコンビニまで酒買いにいったんだ。 まあなんなく酒買って、寒いから一本空けながら帰ってたんだよ。iPodで大音量で音楽聴きながら。 で、ハイツまで帰ってきて部屋の鍵開けて入ったの。 で、内側から鍵かけたと同時に、バータイプのドアノブが、外からガチャガチャガチャって激しく回されたんだよ。 んで、ドアもドンドンドンドン叩かれて。 「ドア開けたスキを狙う強盗か?」 とか思いながらガクブルしてたら、十秒ほどで止んだ。その間もずっとiPodからNirvana流れてた。 死ぬほど怖かったので、産後で里帰りしてる嫁に電話報告。 で、嫁と十分程電話で話して、とりあえず警察に連絡するわって事になって。 警察に電話したら 「戸締りをしっかりして、警察が行くまで絶対に家を出ないで下さい」っていうの。 ちょっと落ち着いてきたから酒のんで待ってたらインターホンが鳴った。 モニタ見たら、鳴らしたのは上の階の住人栗山さん。 近所付き合い以外に、たまに一緒に飲む。 まあ状況が状況だし、居留守使ってスルーした。 そしたら五分後くらいに栗山さんから携帯に着信が。 「もしもし。インターホン鳴らしても出なかったけど。今からそっちで飲める?」 「ああ、実はかくかくしかじかで。栗山さんとこは何もなかった?」 「いや特に」 「気をつけてくださいね。もうすぐ警察来るはずです。じゃあ」 それからさらに五分後くらいに警察到着。 だが到着した警察の様子がおかしい。 インターホン鳴らして、こっちが応答する前にドアを叩きながら 「奥野さーん!奥野さーん!大丈夫ですか!」って。 なんだと思って玄関に出てみたら、ウチの玄関のドアと玄関前の通路・階段に真新しい血痕がべっとり。 「お怪我は?心当たりは?先ほどからこの血はありましたか?」 と怒涛の質問責め。 と同時になんか俺が疑われているような気もした。 とにかく順を追って話し、血痕を見たのは今が初めてだと説明する。 「あ!そういえば上の階の栗山さんがさっきウチのインターホン鳴らした!十五分程前!栗山さんなら何か知ってるかも!てかもしかして……この血痕は栗山さんの……栗山さん襲われたんじゃ……」 一人警官をウチに残し、もう一人が上階の栗山さん宅へ。 しばらくして警官が血だらけの栗山さんと降りてきた。 栗山さんは襲われたのではなく、襲った方の人間だった。 諸々が終わってから聞いたが、交際していた女性を自宅で包丁で刺したらしい。 さっきは人を刺した事でスイッチが入り、他に何人か刺そうとウチのインターホンを押したらしい。 インターホンに出ないので電話してあがりこみ、俺を刺すつもりだったとか。 俺が別件とは言え警察に連絡した事を知り、放心状態で自宅に居たらしい。 ただ、刺された女性は命からがら逃げ、栗山さんの部屋にはいなかった。 ここからオチなんだが、結果刺された女性は駐車場に止めてあった自分の車の中で絶命していた。 そして俺んチの玄関のドアに付着していた大量の血痕と、被害者女性の血液が一致した。 ド アノブから出た指紋も被害者女性のものだった。 俺が最初強盗と勘違いしてたのは、助けを求める彼女の……

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