
長編
トンネルの怪
ニック 3日前
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らず仲間たちは笑いながらおどけて歩く。不思議と、その声に怒りを覚えた。急速に膨れ上がった不快感が俺の口を開いた。
「お前らうるせえ!静かにしろ!」
自分でも驚くほどの怒鳴り声に、仲間たちはビビって「お、おいおい、なんだよ急に・・」的な反応。それも当然。言った自分が一番驚いている。しかし止まらなかった。
「騒ぐ声がうるさいんだよ。静かに歩けよ!」
俺の豹変ぶりに、5人の中で特にビビりだった二人が「マジでやべえって。俺もう帰る」って具合でさっさと先に行ってしまい、残ったのは俺を含め3人。
残った2人は俺を心配しながらトンネルの出口まで付き添って歩いてくれた。その間も俺は足もとの幼女の姿がくっきりと「見えて」いて、死ぬほど恐ろしかった。
やがてトンネルが終わり、ようやく幼女の幻影?からも解放されたが、そこでまた俺を異変が襲った。
今度は懐中電灯の明かりがとてつもなく不快になったのだ。
「お前ら、今すぐ電気消せ。早く、早く消せって!」
電気を消してしまうと完全な闇だ。当然二人は困惑して消そうとしない。
「早く消せって言ってんだろ!!」
俺の剣幕に二人のうちの一人がいよいよ恐れをなし、「お、俺も先行ってっからよ」と逃亡。ついに俺ともう一人の二人だけが暗い廃屋とトンネルの前に残された。
残った友人Hは素直に懐中電灯を消してくれた。俺はとっくに消していたので、一瞬で俺たちは完全な暗闇の中に埋没した。
その途端、とほうもない解放感が俺を包んだ。ものすごく気分が楽になり、浮遊感に包まれたのだ。
俺、やばいかも・・・。
意識ではそう感じていても、体が勝手にトンネルのほうを向いていた。姿は見えないけれど、トンネルの中から何かが手招きしていた。そしてそこに行かねばならないという義務感が体の中で湧き起こった。
「Hももう帰ってていいよ。俺、もう一回トンネルの中入ってくるから」
真っ暗闇の中、俺は勝手にそんなことを言っていた。
「はあ?お前何言ってんだよマジで。大丈夫かよ?おい」
「うん。全然大丈夫。本当に大丈夫だから、Hももう帰っててよ。マジで心配ないからさ」
妙に落ち着いた俺の声に、Hはどんどん顔をひきつらせていた。俺は本気で自分の身が危ないと感じていた。しかし、足が勝手にトンネルに向かって進みだした。一歩進むごとにとんでもない安心感に襲われ、止められなかった。
トンネルの中で、何かが立ってこっちを見ていた。真っ暗闇なのに、
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- 中途半端な霊感を持つ人って.....自分だー‼︎マジか。名探偵