
中編
白蛇様と祖母の物語
けいすけ 2018年9月20日
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皆さんは白蛇様は見たことがありますか?
私は中学二年の頃に一度だけ見ました。
今回はその白蛇様と私と母方祖母が語ってくれた若き日の祖母と白蛇様の不思議な思い出話をします。
私が中学二年生の頃はまだ児童自立支援施設(昔で言う教護院)にお世話になっていた時のお話です。
分校の授業の一環で近所の農家の方の田んぼを借りて私達は田植えをしていました。
(場所はM庭台と言う場所で宮城県民の方は分かるかと。)
田植えを指導して下さった農家さんの自宅の前は綺麗な水が流れる堤があります。
そこには昔から蛍が集まるので綺麗だと教えてくださいました。
さて、事件は田植えの時に起こりました。
田植えも一段落して小休止タイムの時になると後輩の女の子がテンション高く声をかけてきました。
振り向くと…そこには、白蛇の首根っこを掴んでいる後輩の姿がありました。
担任のF島先生と雑談をしていた私は二人仲良く固まりました。
人生で初めて見た白蛇さんとその白蛇さんの瞳が真っ赤だった事に直感的に只の蛇じゃないと思いました。
空気が清み渡るような…そんな雰囲気。
しかし…後輩ちゃんはそんな事は御構い無し。
腕に巻き付け尻尾をつかみブンブン回し…怒った白蛇様が首に巻き付こうとすると逆ギレして堤の石垣に叩きつける等の暴虐をして白蛇様は動かなくなり流されてしまいました。
辞めるように止めても聞く耳持たず…。
理不尽に虐められて命まで…。
白蛇様が可哀想で助かるように祈るしかなかった。
そして…私は後輩ちゃんを睨んでいた白蛇様の視線をみたので命乞いもしてしまった。
その日の晩に不思議な夢を見た。
綺麗な黒髪で瞳が紅くて巫女さんの格好をした美しい女の人が出てきた。
「そなたが懸命に私の身を按じて祈りをくれた娘か。礼を言います。優しい娘だな。…もしや、そなた…あの娘子の孫か?そうか。そなたの祖母には世話になった。優しき心のままでおれよ。心身ともに美しくなるぞ。礼に富みには困らぬようにもいたす。祖母上によろしくな。」
…優しい笑顔で頭を撫でてくれた。
その時は何故祖母ちゃんが?と思うが気にしなかった。
次に行った時はF島先生と一緒に白蛇様の祠を見付けたのでお握りを供えました。
「栞はもしかしたら霊感が強いのかもね。でもね、それは栞が生まれつき優しい心を持って産まれたから何だよ。…ぶっちゃけ先生もあるんだよね。栞はご先祖様や神様に可愛がって貰えるから安心しなさい。優しい心でいてね。」
先生に謎のお墨付きをもらいました。
「大丈夫…そなたは幸せになれるぞ。約束は守るからな。」
白蛇様が夢に登場して頭を撫でてくれた。
その後、19歳の時に母方祖母にその白蛇様の話をしました。
「馬鹿な事を…。哀れな娘じゃ。」
…祖母の怒りながら涙を流す表情を見ながら私は白蛇様に何故祖母によろしくなと言ったのかと聞くと母方祖母はある事実を話してくれた。
戦争が終わり、嫁入りも働き口も決まってない時期にM庭台の農家に働きに出たそうです。
仕事が終わり、お昼ご飯を食べて祠の近くで休んでいると…祖母の目の前に白蛇様が出てきたそうです。
しかし…白蛇様は怪我をしていたそう。
可哀想に思った祖母は服を裂いて傷の所に持っていた薬草を煎じた汁を染み込ませて白蛇様の傷口に巻きました。
何の気なしに白蛇様サイズにしたお握りと黒糖を置いたら食べたそうです。
すると…白蛇様は首をあげて祖母の顔を見ると一礼をしたそうです。
その日の晩に白蛇様が夢の中に現れたそうです。
「昼間は有り難う。握り飯と黒糖美味かったぞ。礼にそなたの嫁入りと富を約束するぞ。そして、そなたに美しい娘と孫をやろう。優しく可愛らしい娘に育った者は一生守る。幸せと富と美しさは永久に続くが霊感が鋭い孫が産まれるが安心しなさい。先祖代々と神仏の加護があるから。」
…と夢枕に立たれたそうな。
「そんな事があったんだね。有り難いな。…でも、残念ながら私は違うかな。ブスだし。」
と、卑屈になり落ち込んで苦笑いする私は祖母に頭を軽くひっぱたかれました。
「その白蛇様が言った娘は栞だよ‼ま…乳は育たないみたいだけどね。」
貧乳を引き合いにされ落ち込む私でした。
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