
長編
トンネル奥の日記帳
匿名 2015年11月1日
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私は中学生のときに、父親と従兄弟2人との4人で幽霊が出るトンネルに行こうということになりまして、車で1時間くらいの幽霊が出ることで有名な廃トンネルに行きました。
最初は遊びのつもりでふざけていたのですが、奥に進むにつれてどんどん怖くなってきました。
とりあえず1人ずつ行こうということになり、高校生の従兄弟(次からAとします)がズカズカとトンネルの奥に入って行きました。
すると、10分くらいして「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」という声が聞こえて、Aが猛スピードで帰ってきました。
「大丈夫か?」従兄弟B(次からBとします)が聞くとAは「うぅっ…うげぉ」と言葉にならないコトバを苦しそうに言うのです。
父親が「車に戻ってろ!おれはトンネルの奥を見てくる!」と少し震えた声で言いました。
そして父親がトンネルに向かってから10分が経った頃Bが「なんでAがこんなパニックってるのか気になるよな?」と聞いてきて私はノリで「見に行く?」と聞いてしまいました 。
B「車にある使えそうなものを持ってこい!」
私「懐中電灯とクッキーでいい?」
B「クッキーってw」
みたいな感じで少しふざけた感じでトンネルに入って行きました。
中はとても暗くてあかり一つも無い不気味な場所でした。
私は怖くなって「お化けなんてなーいさっ」と歌うとどこからか「いーるよ」と聞こえてきました。
私はBがふざけているのだと思い、
「ふざけないでよw こわいじゃないw」
と言うと、Bは
「なんだよ、何も言ってねーじゃん」
と言いました。
私は怖くなって、
「(お化けなんてなーいさっ)って言ったらいーるよって言ったじゃん」
って少し怒って言うと、Bは笑って
「はぁ?おれはなにも言ってねーよ」
って、まるで私が変みたいに言うのです。
しばらくして出口が見えてきました。
私はホッとして出口に向かって走り出しました。
すると、いきなりBが
「おいっ!よく考えてみろよ、お前の父さん(次から○○とします)おれらより10分も先にトンネルに入ったわけだよな?でも、おれらは誰にも会うことなくトンネルに着いた。ってことは、○○はもっとトンネルを抜けた奥に行ったんじゃないか?
いや、おかしいぞ、Aはトンネルに入ってすぐに帰ってきたんだ。なのに、なぜ○○はトンネルを抜けてもっと奥に行ったんだ?ちょっと調べに行くだけじゃなかったのか?」
Bは少しパニックになって
「早く○○を探さなきゃ!もうこんな所にイタクナイ」
そのとき、一瞬だけBがBじゃない気がしました。
Bがこっちだろう、と進んだ先にはボロボロでいかにも出そうな小屋がありました。
私はなにも考えずに中に入りとりあえず父親の手がかりになるようなものを探しました 。
すると、日記帳?みたいなボロボロの本が机の上に置いてありました。
その内容は今でもしっかり覚えています。
20**年 ○○月 ○○日
今日は誰も、このトンネルに来なかった
今日も僕はまた独り。寂しい。早く誰か来ないかな?
20**年 ○○月 ○○日
今日も誰一人来なかった。寂しい寂しい寂しい寂しい。もういやだ。僕はここから出れない。なんで?なんで?なんで?
20**年 ○○月 ○○日
やった!今日は男の人1人が肝試しにきた!そして、この小屋に入ってきたので僕が話しかけると、その男の人は怖がって逃げていった。だから、包丁で背中を刺したら動かなくなった。でも、もう孤独じゃない!倉庫にでも入れておこう。これからはこの人と2人で暮らすんだ!
20**年 ○○月 ○○日
なんか、高校生くらいの男の人がきた。僕が出て行くと、顔を見るなり逃げていった。
20**年 ○○月 ○○日
今日は強そうな男の人がきた。でも、僕を見るなり急いで帰っていった。追いかけても追いつけない。最悪だ。 あれ?なんか奥から男の人と女の人がきた。こっちにくる!よし、話しかけてみよう。
そこで日記が終わっていました。
するとBがいきなり、
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
と叫んで走って行きました。私はなぜBがこんなに慌てていたのかがわかりませんでしたが、気付いてしまいました。
その日記は今日で終わっていたのです!
そのことに気が付いた私は、ひたすら走ってその場を離れました。
何分経ったでしょうか。私はいつの間にかトンネルを抜けて車があるところまで来ていました。
隣には父親とBがいました
私は、とっさに
「Aは?Aはどこなの?」
と聞くと、父親が
「なんで車で待ってなかったんだ?あいつを置いてなぜトンネルに入った!あいつはもう帰ってこないんだぞ!」
私はわけがわからなくなってその場で黙っていました。
すると父親が私の方を見て、すごい形相で
「なんだ!それは!なぜそんなものを手に持っているんだ!」
というので、私は自分の右手を見ると、
あの日記帳が握り締められていました。
私は怖くなってその日記帳を投げ捨てると
日記帳が勝手にパラパラとページをめくり始めました。そして、とあるページが開かれました。
そこには、
20**年 ○○月 ○○日
高校生くらいの男の人が帰ってきた。
僕を見るなりニヤニヤしていた。
僕は、彼に「友達になろう」というと
彼は返事すらしなかった。ただ、ずっとニヤニヤしていた。僕は、イラっとして持っていた包丁で胸を刺した。すると彼はニヤニヤするのをやめて、僕に「助けて助けて痛い痛い痛いやめてやめて痛い痛い助けて助けて助けてタスケテタスケテ」
と、謝ってきた。僕は許せなくてもう一回刺した。すると彼は動かなくなった。
倉庫に入れておこうか。
そこで日記は終わっていました。
私たちは怖くてしばらく黙っていました。
そこからどうやって家に帰ったかわかりませんが気がつけば家についていました。
あの時、私がAを置いていかなければAは死ななくて済んだのにと思うととても辛い気持ちになります。
あれから13年、私はまだあの出来事を忘れられません。 日記帳の主は今もなお、あのトンネルの奥の小屋にいるのでしょうか?
そして、つい最近、押入れを整理していたら変なノートが出てきました。
そのノートの最初にはこう書いていました。
「また、戻ってきてよ。」
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