
その絵は、長年放置された廃工場の一室にひっそりと飾られていた。若い女性が描いたとは思えないほど、恐ろしい雰囲気を醸し出すその作品は、見る者の心に不安をもたらしていた。
絵の中心には、濃い紫色の空が描かれており、いくつもの黒い影が蠢いている。下には、崩れた鉄筋の地面が広がっており、そこには無数の足跡が残されていた。まるで何かから逃げようとしているかのようだった。
そして、絵の隅には、同じく少女が描かれている。彼女は、こちらに背を向け、何かを凝視している。その姿は不自然に歪んでおり、まるで悪夢の中の住人のようだった。
その絵を見つめていると、底知れぬ恐怖に包まれる。まるで、自分もその絵の中に引き込まれ、永遠に閉じ込められてしまうかのような錯覚に陥る。
ある冬の夜、友人たちと探検に訪れた若い女性がいた。彼女は、好奇心に駆られてその部屋に足を踏み入れ、絵を目にした。
彼女は、その異様な雰囲気に魅了され、時間を忘れて絵を見つめていた。すると、突然、絵の中の少女が怪しくこちらを振り返った。
彼女の顔は、無表情でただ黒い瞳が女性をじっと見つめていた。そして、その口元がゆっくりと動き始めた。
それは笑みではなく、まるで口の筋肉が痙攣しているかのようだった。しかし、その光景は何よりも恐ろしかった。
女性は恐怖に駆られ、後ずさりしようとしたが、その瞬間、少女は絵の中から現れ、ゆっくりと彼女の方に近づいてきた。
少女は、女性の目の前まで来ると、その歪んだ口元でこう呟いた。「あなたも、私たちと一緒にいられる。」
その言葉と同時に、彼女の体はまるで人形のように硬直し、意識は闇に包まれた。
翌日、彼女は廃工場から姿を消した。そして、絵の中には新たに描かれた少女の姿があった。その顔は無表情だったが、口元は微かに歪んでいた。
それからというもの、その絵は新たな訪問者を待ち続けている。
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