
短編
葬儀場の清掃でおきた話
匿名 2日前
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夜遅く、父と二人で葬儀場の清掃をしていたときのことです。葬儀場はいつもひんやりしていて、薄暗い照明が余計に寂しさを際立たせていました。私たちは女子トイレの掃除をしていて、そこには二つの個室がありました。床を磨くために、私はサニタリーボックスを一時的にトイレの蓋の上に置いておきました。
掃除を終え、サニタリーボックスを元の場所に戻そうとしたとき、驚いたことに、それはすでに元の位置に戻っていました。私は不思議に思い、父に「サニタリーボックスを戻した?」と尋ねましたが、父は「いや、俺は触ってないよ」と首をかしげました。
その後、作業が終わってから、ふと冗談で「ひょっとして、お化けだったんじゃない?」と父に聞いてみました。すると、父は一瞬驚いた顔をしてから、真剣な表情でこう言いました。
「え?お前、本当に気づかなかったのか?」
私は何も感じなかったので、戸惑って父の顔を見つめました。すると父は、少し戸惑ったように続けました。
「さっき式場の中を、子供が二人走り回ってたじゃん…。お前、あれ見てなかったのか?」
その瞬間、血の気が引くのを感じました。式場の中は静まり返っていて、私たち以外に誰もいないはずでした。なのに、父が見たという子供たちの姿を、私はまったく気づくことができませんでした。
トイレの中で感じた不気味さが再び胸を締めつけ、私は言葉を失いました。式場を走り回っていたという二人の子供たちは、一体何者だったのか――それを考えると、もうその場所には戻りたくないという気持ちでいっぱいでした。
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