
長編
葛籠 (つづら)
えい 3日前
chat_bubble 6
65,182 views
…8の匣。
紫翠を呼ぶ様に、A君とB君に告げ、少しだけ葛籠に近付くと、スッと何かが脇に立つ気配があった。見なくても、視なくても分かる。
顔に面布をつけた白装束の女性。
自分の意思とは別に更に葛籠に近付こうとする。必死に抗うが、何かに押される様に体が前へ進んでしまう。
そして…葛籠の蓋を開けようとした時、紫翠が葛籠の蓋に思い切り足を乗せた。
バンッと大きな音がして、面布の女性が消えた。
紫翠 「オイッ大丈夫か?」
私 「大丈夫。」
紫翠 「もう1つあるはずだ。探すぞ。」
私 「そうだね。思い付く所は探したんだけど…見付からなくて…これが大きい方の葛籠。」
紫翠 「ああ…間違いなく8だろうな。」
私 「何故、二つもあるんだろう?普通、一軒に一つでしょ?」
紫翠 「さぁな。誰かに持ち込まれたのかも知れねぇな…。」
私の中に流れ込んでくる。
私 「あっ…」
子供に恵まれない長男の嫁。子沢山な次男の嫁。
子供を切に願う母が行き着いた場所が呪詛。
姑にも辛く当たられ、次男の嫁からも嫌みを言われ、挙げ句には、夫が浮気をし出した。
紫翠 「…イッ!オイッ!しっかりしろっ!大丈夫か?」
私 「ん?大丈夫…」
紫翠 「お前…何、泣いてんだ?」
私 「へ?泣いてないよ?」
紫翠の指先が頬を拭う。濡れた感触で、自分が泣いていたと知る。
紫翠 「泣いてんじゃねぇか。」
私 「私じゃない。」
そして…何と無く葛籠が何処にあるかが分かった。紫翠の前を通り過ぎ、奥の部屋に行こうとする私の手を紫翠が掴む。
紫翠 「憑かれてねぇよな?」
私 「全然、平気。」
紫翠 「どの部屋だ?」
私 「奥の和室。多分…仏間。」
紫翠 「分かった。俺が先行くぞ。」
私 「ん…。でも、部屋へは、私が先に入った方がいいかも。」
紫翠 「分かった。」
二人で奥の部屋に向かい、先に私が入る。
私 「紫翠、仏壇の下。戸棚の中。」
そう言うと紫翠は、仏壇の下の戸棚を開けた。
紫翠 「あった。」
それから、二つの葛籠を別々の木箱に入れ、封印して、住職に連絡を入れ、Cさんに経をあげて貰った。
ただ…直ぐ祓えるものじゃないから、時間は掛かる。そして、残酷だが…Cさんは、一生子供が産めなくなった。
葛籠と呼ばれた物は、今は、何重にも封印が施され、ある場所にある。
あの出来事から数ヶ月経った頃、Cさん家族は
この怖い話はどうでしたか?
chat_bubble コメント(6件)
- コトリバコをモチーフにしたのかな?sumomo
- 台詞回しが中二病っぽくて胡散臭く感じたあか
- いや、五時脱磁が非道いな!!ジェニファーロペス
- 話しのシーンが飛び飛びで、場面がよくわからなかったですkartoon
- うわ〜怖い………今もおかしい状態なんだ……行かなきゃ良かったのにねしゆか
- 紫光さんと紫翠さんは別の人ですか??あい