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中編

夢は所詮夢の話

タヌキ 2018年8月12日
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自分がまだ十代後半で、住み込みで飲食店で働いていた頃です。 親父が、BだかC型の肝炎で、職場近くの大学病院に入院したと母親から連絡を受けました。 両親は以前から仲が悪く、いつかはこんな日が…と思ってはいたのですが、親父の入院の期に、母親は妹を連れて家を出て離婚。 兄妹は二人だけで、妹が母側に付くのなら親父を独りにするのは可哀想だと、自分は父側を選択しました。 そんな自分ですが、仕事や独り暮らしの生活が楽しすぎて、入院した親父の事も全く気にしておらず、お見舞いに行こうか…とゆう気持ちの欠片もありませんでしたが、ある夜こんな夢をみました。 自分は橋の上で大きな川を眺めています。 すると、木造の昔ながらの小舟が下流から流れてきて、そこには白装束を着た親父が立っていました。 『親父、一体何をしとるん⁉️』 と橋の上から声をかけると、親父は少し悲しそうな笑顔で 『お前が見舞いに来てくれないから、俺は死んでまったぞ』 と答えます。そこで目が覚めました。 もう心臓バクバクで、これはきっと虫の知らせ以外の何物でもないのではないか 。親の死に目に会えないとはよく聞くけど、これは辛すぎる。何故見舞いの一度でも行ってやらなかったのかと、激しく後悔しましたね。 朝一でその日は休みをもらい、すぐさま病院に駆けつけましたが… 親父は、ベッドに横たわってはいましたが、元気に生きていましたw こんな夢を見たから焦ったわ‼️と親父に説明して文句を言うと 『お前が元気に生活出来てるかは心配していたけど、見舞いに来て欲しいとは全然思って無かったしw』 との事。この事があってから、自分の中ではどんなに意味ありげな夢にまつわる不思議な話を見ても聞いても『夢は所詮夢のお話、オカルトとは関係ない』と信じなくなりました。 長くなりましたが、ここから本題です。 そんな自分も数年後には結婚して子供も小学生へと大きくなり、ある夜に夢を見ました。 自分の母校の中学校の校舎の中を、嫁さんと子供二人を連れて、女の幽霊から逃げ回っています。 女は白装束で、ボサボサの黒い長髪。顔は目と口が黒く滲んでいるようで、ハッキリと確認出来ない。典型的な女の幽霊像だと思います。 逃げている内に、2階にある教室に飛び込みます。 教室の中は、机や椅子が後ろのロッカー側に積まれてかたずけられており、部屋の真ん中には蓋の無い大きめの段ボール箱がポツンと置かれています。 まず自分は嫁と子供達を、教室の窓からベランダへと逃がしましたが、女は教室の扉のすぐそこまで来ていました。磨りガラスの向こうに姿が見えます。 自分が窓から出る所を見られては、女はまたしつこく追って来るだろうと考えた自分は、窓を閉めて嫁達に逃げるように指示し、人1人がうずくまれば隠れられる大きさの段ボール箱へと 入りました。 真っ暗な視界のなかで息を殺していると、女が教室に入って来た気配がします。 そこでフッと考えたのが、なんでこんな蓋の無い箱に隠れてしまったのか‼️これでは上から覗けば丸見えじゃないか‼️と後悔しました。 が、女の気配はするものの、一向に動きがありません。 もしかして、幽霊ってのはそんなに賢く無いんじゃないか?このまま見つけられず、やり過ごせるのではないか?とほんの少し気を緩めたまさにその瞬間です。 『グワッ‼️』 っと、それはもう物凄い力で肩を掴まれて、その瞬間にハッと目が覚めました。 ここまででは自分も単に怖い夢を見た で済ませられるのですが、気になったのが肩の痛みです。 幽霊の手形が付いていた。なんてオチは無いのですが、肩こりなんてレベルではなく、まるでプロレスラーに全力で掴まれたかのような激痛が次の日までしばらく続きました。 催眠状態などで科学的に説明出来る痛みだったのかも…と、『夢は所詮夢の話』と今でも否定的な考えの自分ですが、これが40年生きてきて、たった一度だけ起きた不思議だなと思った自分の夢にまつわるお話です。

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