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MOの日記
長編

MOの日記

(;¬_¬) 2016年5月31日
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はじめまして、MOと申します。 505号室に住んでいます。 今日、隣に新しい住人が引っ越してきたのでそのことについて書きたいと思います。 5月26日(初日) 今日、隣の504号室に新しい住人が引っ越してきた。 どんな人かは分からないが、男のようである。 5月27日(2日目) 今日、男はインターネットの接続を済ませた。 男のしゃべる声が聞こえた。 関西人のようである。 5月28日(3日目) 今日、男の電話をする声が聞こえた「経理課」と言っていた。 どこかの会社に勤めているサラリーマンなのだろう。 ベランダに出てしゃべっているのだから当然私の部屋にも声は届く。 5月29日(4日目) 男が部屋にいると真下の404号室から棒で突き上げるような音と衝撃がした。 男は驚いた。 しかもそれは一度ではなく男が何か物音をたてるたび何度も何度も続けられた。 男はなぜこんなことをされるのか分からなかったが、一度様子を見ることにした。 5月30日(5日目) 今日も男が部屋で物音をたてると404号室の住人が棒で突き上げてきた。 この衝撃は隣の私の部屋まで伝わってくるほどすさまじいものである。 そして、何度も何度も繰り返された。 いい加減頭にきたのでベランダへ出てゴミバケツを蹴った。 すると404号室の住人はこれに反応してまた棒で突き上げてきた。 5月31日(6日目) 郵便ポストに手紙が入っていた。 「マンションにお住まいの皆様へ 皆さんもお気づきかと思いますが、404号室の住人が正常な人間ではありません。深夜に過度な咳(せき)をしたり、壁をたたいたりと大変迷惑を被っています。 しかし、管理会社に訴えても商売である以上「住人が出ていかない程度の注意」しかしてくれません。また、深夜に不快な思いをしても管理会社に連絡することはできません。 そのため、今後あまりにひどいときは警察を呼ぶということも選択肢の一つと考えたほうがよいと思います。これは、問題が明るみになることで管理会社が深刻に受け止め今後対応が良くなることが望めるからです。また問題の住人にとっても人生のリスタートをきるいいチャンスになるかもしれません。そして、何より他の住人が安心して住めるようになるからです。 また、どうしても耐えられない場合は早めに引っ越すことを勧めます。なぜなら、深夜問題を起こされると睡眠がとれないため仕事に支障が出るからです。そして最悪の場合仕事を辞めなければならないからです。会社は住宅トラブルが原因で仕事が進まないというのを許してはくれません。長い人生のキャリアを考えると体調不良、精神不安定になる前に引っ越した方がいいでしょう。 決して勘違いをしてはならないのは、「引っ越すことが負け」ということです。ただ、運が悪かっただけです。引っ越さず我慢し続けるとうつ病になる可能性もあります。普通に考えてあのような住人相手に壁を隔てて住み、引っ越さず我慢することなど不可能です。みな考えることは同じです。 それと、おそらくですが404号室の住人は周辺住人を引っ越させることを目的としていません。できるだけ周辺住人に精神的ストレスをかけ、仕事など大切なものを壊し、自分と同じような上手くいかない人生に引きずり込もうとしているような気がします。要は自分が上手くいかないから他人も巻き込もうとしているのです。巻き込まれると思ったら早めに行動に移しましょう。 また、404号室の住人を改心させ静かにさせる方法はありません。言って分かるなら既に静かになっているでしょうし、正常な人間への対処法をしても無駄です。相手は正常ではないのですから。 このような人間への対処法は徹底的な無視です。深夜に明らかに不自然で大きな咳をさせると誰でも腹が立ちます。しかし、これに対し咳で返すことは自分が起きて反応していることを相手に知らせることです。絶対にやってはいけません。壁を叩かれたときも同じです。それに他の住人にも迷惑です。自分ばかりが被害者と思っているかもしれませんが、一番の被害者は問題の住人と問題になっていないのに深夜眠れない住人です。 上から目線で偉そうな言い方になりましたが、自分では気づいていないうちに自分が問題の住人になることはよくあります。404号室の住人を反面教師として他の住人に迷惑をかけないよう過ごしましょう。」 6月1日(7日目) 男は不動産管理会社に電話をした。 「404号室の住人がおかしい」と。 管理会社が明日来ることになった。 その日は真夜中まで404号室の住人が棒で突き上げてきた。 6月2日(8日目) 男は会社を休んだ。 管理会社が部屋に来るからだ。 管理会社は網戸や玄関のドアを調べたが特に壊れていたわけではなかった。 男は管理会社に「404号室の住人に注意してほしい」と頼んだ。 管理会社は「分かりました」といって帰って行った。 しかし、その日も真夜中まで404号室の住人が棒で突き上げてきた。 6月3日(9日目) 男は会社を半日で切り上げ、帰って寝ることにした。 連日404号室の住人が棒で突き上げてくるせいでまともに寝てないからだ。 しかし、帰ってくると404号室の住人が棒で突き上げてきた。 404号室の住人は働いていないようだ。 その日も真夜中まで404号室の住人が棒で突き上げてきた。 6月4日(10日目) 男はキレた。 自分は普通に生活しているだけなのになぜ攻撃されないといけないのか。 直接404号室へ行き、棒で突き上げるのをやめるよう言った。 404号室の住人は「お前がうるさいからだ」と言ってきた。 その日も真夜中まで404号室の住人が棒で突き上げてきた。 6月5日(11日目) 男は朝5時に起きた。 そして、洗濯物を「パンッ!!パンッ!!」とできるだけ大きい音を立てて干した。 404号室の住人も負けじと突き上げてきた。 隣の部屋の私にとってはいい迷惑である。 しかし、仕返しが洗濯物「パンッ!!パンッ!!」とは正直「賢くないな」と思った。 その日の午後は雨が降り、洗濯物はずぶ濡れになっていた。 6月6日(12日目) 男は風邪をひいた。 連日真夜中まで下からドンドン突き上げられるので精神的に参っていたのだ。 しかも仕事でへまをやらかし、かわいがってもらっていた上司からも距離を置かれるようになっていたからだ。 男は生活音を最小限に留めるため、玄関のオートロックをカギに替えた。 しかし、404号室の住人は棒で突き上げてきた。 6月7日(13日目) 男は気づいた。 404号室の住人は男が音を立てていなくても攻撃してくることに。 このころには何か音がするたびに敏感に反応するようになっていた。 会社では決定的なミスを犯し、得意先との契約が破談となった。 男は自主退職という形で会社をクビになった。 その日も真夜中まで404号室の住人が棒で突き上げてきた。 6月8日(14日目) 男は404号室の住人に復讐することを誓った。 絶対に許せなかった。 自分の仕事を奪われたからだ。 男は部屋にこもり404号室の住人に力いっぱい洗濯物を「パンッ!!!パンッ!!!」した。 カーテンを何度も何度も「シャー!!シャー!!」動かした。 男は404号室の住人と一日中喧嘩した。 いつしか男は404号室の住人と同じになっていた。 6月9日(15日目) 男は今日も朝5時に起き、洗濯しようとした。 しかし、もう洗濯するものがなかった。 しょうがないので既に干してある乾いた洗濯物を「パンッ!パンッ!」した。 音はあまり出なかった。 する必要もないのに何度も何度もカーテンを「シャー!!シャー!!」した。 404号室の住人もこれに対抗して棒で突き上げた。 今日も二人は一日中喧嘩した。 しかし、男は仕事を辞めたため無収入である。 7時を過ぎ他の住人が家を出ていく音が聞こえると不安に襲われた。 6月10日(16日目) 男はハローワークに通うこととした。 働いてないのがばれないように働いていた時と同じ時間に家を出た。 しかし、いい仕事はなかなかないものだ。 ハローワークの人に会社を辞めた理由を聞かれたが「やりたいことがあったので」と嘘をついた。 家に帰るといつもの喧嘩がまた始まる。 家に帰りたくなくなった。 6月11日(17日目) 午前三時、突然隣から「ウォーーーーーーーーォォォォォオ!!!」と叫ぶ声が聞こえた。 「狂ったか?」私は思った。 しかし、悪夢にうなされただけのようだった。 正直ほっとした。 しかし、その叫び声をきっかけに404号室の住人の突き上げが始まった。 6月12日(18日目) 男は自分を見つめ直すことにした。 なぜこんなことになったのだろうか。 しかし、答えは見つからなかった。 自分は何一つ悪くないのだから。 全ては404号室の住人のせいなのだから。 男は疲れた。 人生で最も疲れた… 6月13日(19日目) 男は朝5時には起きなかった。 起きられなかったわけではないが起きたくなかったのだ。 404号室の住人はそんな男に容赦なく棒で突き上げてきた。 しかし、男にやり返す気力はなかった。 404号室の住人の突き上げる音と衝撃は一日中続いた。 6月14日(20日目) 404号室の住人は今日も朝から男を突き上げてきた。 しかし、男はやり返さなかった。 6月15日(21日目) 404号室の住人は今日も朝から男を突き上げてきた。 しかし、男はやり返さなかった。 返事がない。ただの屍のようだ(笑) 6月16日(最終日) 今日、私の部屋に警察が来ました。 男は亡くなったそうです。 いろいろ事情を聞かれた私は知っていることを全て話しました。 しかし、警察はおかしなことを言うのです。 「404号室は空き部屋だ」と。 そりゃそうだ。 404号室には私が住んでいるのだから… MO(ミテイル、オマエヲ) *「私」が実際に体験した「本当にあった怖い話」シリーズ ① スーパー銭湯 ② 扇風機おじさん ③ 喪黒兄 ④ 「死」の概念 ⑤ 自転車チャンピオン ⑥ スネオ系男子 ⑦ ケンシロウ ⑧ 綱吉公の理想郷 ⑨ 禁忌と懺悔 ⑩ MOの日記 *「私」が実際に体験した「本当にあった怖い話」シリーズは、諸般の事情により「MOの日記」が最終回となります。 読んでくれた皆様及びコメントしてくれた皆様ありがとうございました。  今後もよろしく…                  MO

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