
長編
スカーフ
匿名 2019年7月24日
chat_bubble 0
10,004 views
私は、ファッションデザイナーと言う仕事をしている。
これは、仕事中に起こった不思議な話だ。
いや、感動するのかもしれない
『うんうん。分かったじゃあ今月中に仕上げるよ。………………OK、じゃあおやすみ〜』
そう言って携帯を閉じる
私の友達は、小さな雑貨屋さんの店長をしており、そこに私がデザインした服をおいてもらっている。そして今日は、前にその友達から依頼されていたスカーフを今月中に仕上げて欲しいと夜遅くに電話があったのだ。そのスカーフは、赤色のバラがたくさん刺繍してあり、生地自体は、淡い青色で、イメージは、空をバックにバラが咲いているという感じだ。前に1度その柄のハンカチを売り出したところ、それが莫大に売れたらしく、また違う種類で同じ柄のものを作って欲しいと頼まれ今、作っているのだ。
もうすぐ終わるのでその日は何も考えず眠りについた。
だいたい深夜3時頃、私はトイレに行きたくなったため1階に降りていった。すると、トイレの前に作ってる途中のスカーフが落ちていた。
「あれ?しまい忘れたのかな?でも、仕事部屋でしているからこんな所に置くわけないし……」
だが、早くトイレに行きたいという気持ちが勝ち、そこまで深く考えず用を足し、仕事部屋にスカーフを置き、また寝室へ戻った。
翌朝
ープルルルルルプルルルルルー
(こんな朝早くに誰だろう…)
あくびをしながら受話器をとる
『もしもし…』
《あっ、もしもし〇〇(私の名前)?》
その声は前に電話をしたあの友達だった。
『あっ、〇〇(友達の名前)どうしたの?こんな朝早くに…ふぅぁ〜』
《あのスカーフのことなんだけど!!!明後日には届けて欲しいの、お願い!その分お金は渡すわ!》
彼女の真剣な様子が電話越しに伝わってくる。
『どうしてそんなに早く…今月中じゃなかったっけ?』
《初めはそう言っていたんだけど…………
あーもう、…とにかく早くして欲しいの!!!お金はどれだけでも渡すわ!お願い…!》
『分かったわよ…お金はいらないわ、出来るだけ早くする。』
《あ〜ぁありがとう!ごめんね、》
『別にいいわ』
そう言って電話を切る。私は、どうして焦っているのか正直わからなかった。けど早くと言われてしまえばしないといけない。私は、すぐ操作に取り掛かった。
きずけばもう、夜10時になっていた。早速ダンボールに詰め込み玄関において寝室で眠った。
翌朝自転車で、お店へ向かう。
「あら!早くに持ってきてくれたのね!」
嬉しそうに彼女は言う。
私は、少し休憩させてもらうことにした。そして、どうして急いでいたのかを聞いた。
「信じて、貰えないかもしれないんだけど、」と、
彼女は小さく口を開いた
「ある日夢の中に男の子が現れたの。その子は、小さな声であの柄のスカーフが欲しいって繰り返しているの。私、最初なんのことかさっぱり分からなくてね、」
度々私が合図地をうつ。
「それでその時目が覚めたの。するとそこに薔薇柄のハンカチがあってね。あっ、この柄のスカーフが欲しいのかもしれない。ってピンってきたの」
「どうして?」
私が割り込む
「それが全くわかんなくてさ、直感っていうか、」
「ふーん」
曖昧に返事をする
「でね、次の日も同じような夢を見てさ、今度は、私に語りかけてくるの。あの柄のスカーフをあの女に作らせてくれって、きっとあなたのことだと思うんだ。ずっと言ってくるの。初めは、嫌だって言ってたんだけど、作らないと命を奪うって言い出してさ、仕方なく分かったって言ったの。それであなたに作って欲しいとお願いしたんだ。」
そこで彼女は立ち上がると店の奥へ行こうとした。直ぐに私は立ち上がり…
「待って!」
っと呼び止めた
「何?」
「どうして、早く持って来いって言ったの?」
そうだったねっと言いながらもう一度彼女は椅子に座る。
「それで、また夢にあの子が出てきて、まだか、まだ出来ないのか、早く作るんだって急かしてきて、明後日までに出さないと命を取るって言われてさ、で、目が覚めてすぐあなたに電話したの。なんか、ごめんね」
彼女は謝る。私は、なんにも気にしていなかったから、いいよとだけ返した。
その後スカーフは、売り出され夢に男の子が出て来なくなったという。
ある日、私は、彼女の店に顔を出してみた。混んでいるわけでは、ないのだが、お客さんは、5人ほどいた。玄関から服を運ぶ彼女に手を振る。すぐにきずいた彼女は、ニコッと笑い顎でおいでと示す。私は中に入った。すると彼女は服をハンガーにかけて私のところへ来た。
「今日は、だいぶ空いてるからゆっくりしてってよ」
「そうさせてもらう」
そう言って椅子に座る。
お茶を飲みながら彼女と話をしていた。途中で、彼女がお客さんから呼ばれかけて行った。1人になった私は、ぼーっと玄関を見ていた。するとそこへ男の子と車椅子に乗ったおばあさんが入ってきた。彼女がいらっしゃいませーっと甲高い声で言う。私は、その時寒気がした。ゾーーっと背中をなぞられているような感じで、それは彼女も同じだったのか青ざめた顔をしている。お客さんは、あのーっと声をかける。もう一度男の子とおばあさんを見ると2人は、スカーフの元へゆっくりと、歩いていった。そして、1つ手に取るとおばあちゃんに手渡した。
「ばぁちゃんこれは、僕からの最後の誕生日プレゼントだよ。ばぁちゃんばら好きでしょう。」
「あぁ、ありがとう。大事にするよ。」
そして、レジに2人が近づいてくる。彼女は、駆け足でレジに戻ってきてお金を貰う。男の子の細く小さな手から。
その後、男の子達が、店から出ていくと彼女は、青ざめた顔で私に言った。
「あの子よ。あの子が夢に出てきた子なの……」
「はぁ?そんな訳……」
彼女は泣きだしそうな顔をしている。私は、信じてあげようと思い。彼女の背中をさすった。
三日後、風の噂であの、おばあちゃんが亡くなったと聞いた。そのおばあちゃんは、バラが大好きなのだそうだ。その後あとを追うように男の子が事故にあい死亡したそうだ。
あの時、夢に出てきたのは、男の子の生霊のようなものなのか、もしくは、それ以外のものなのか、そして、トイレに行った、あの時スカーフがあったのは、早く作ってくれという、サインだったのか、男の子は、おばあちゃんが亡くなると知っていて……
後日談:
- これは、フィクションです
この怖い話はどうでしたか?
chat_bubble コメント(0件)
コメントはまだありません。