
彼は冬の夜、自宅のバスルームで風呂上がりに右手を気にしていた。手首の皮膚がかゆく、じっと見つめると、そこに小さな白い塊が顔を出しているのに気付いた。大きさはわずか0.5ミリほど。しかし、その出っ張りは皮膚の表面を突き破り、まるで何かが生まれようとしているかのように見えた。
彼は好奇心を抑えきれず、デザインナイフを手に取った。これなら、うまくやれば皮膚を傷つけずに取り出せるかもしれない。慎重にその周囲を切り、根元に刃を入れると、ひょいと塊が取れた。白い塊は固く、押しても潰れない。いったいこれは何なのだろうか。
気になった彼は、PCに接続した顕微鏡カメラを使って拡大してみることにした。映し出されたのは、インディカ米のような形状で、二つの黒い点が目のように見えた。その瞬間、彼の胸に不安が広がった。恐る恐る、デザインナイフでその塊を真っ二つに切り、洗面所へ運び、流した。だが、その日から同じ場所から毎月、同じ白い塊が現れるようになった。
彼は毎月、ナイフで掘り返し、卵を取り出しては潰して流していた。しかし、最近ではその白い塊は他の場所からも生まれ始めた。左手の手のひら、右足の裏、さらには耳たぶの上まで。体中をナイフで掘り出すのが次第に面倒になってきた。
彼はふと考えた。これらの卵を殺さずに、シャーレで孵化させたらどうなるだろうか。自分の体から生まれた存在、彼の子供たちかもしれない。孵化したら、どうしようか。どこかに解き放とうかな。
彼は笑いながら、考えを巡らせる。だが、その瞬間、彼の手首から新たな白い塊が顔を出し、彼は恐怖を感じた。これは、彼の思考を凌駕する何かが近づいているのかもしれない。果たしてそれは、彼自身の一部なのか、それとも…?
彼の笑い声は、次第に震えに変わっていった。 何かが、彼を待ち受けている。 それは、彼が思い描いていたような、単純な未来ではなかった。
後日談:
後日談はまだありません。
この怖い話はどうでしたか?
chat_bubble コメント(0件)
コメントはまだありません。



