
私の妹は、幼少期から周囲とは異なる感受性を持っていた。内気で、同い年の子供たちと遊ぶのが苦手で、よく団地の外れにある古い公園から姿を消していた。探しに行くと、決まって近くの空き家の前に立っていた。そこには古びたおもちゃが散らばっていて、妹はいつもそれらに水をかけていた。母が驚いていたのは、いつの間にか妹がそのおもちゃたちに話しかけている姿を見ていたからだ。
妹には、小さな頃から“普通の人には見えないもの”が見えていたようだ。彼女が一番よく語っていたのは、「クローゼットの中にいる子供たち」についてだった。私たち家族は他に誰もおらず、クローゼットに人がいるはずがなかったが、妹はその子供たちが友達だと言っていた。私はその話がなんだか不気味で、不安になっていた。
しかし、妹が成長するにつれて、彼女は見えないものについては語らなくなり、その代わりに恐ろしい金縛りに悩まされるようになった。夜、彼女の部屋で眠っていると、誰かが枕元に立っているような感覚がし、怒鳴り声が聞こえる。そして、体がベッドに押し付けられる感覚も伴う。しかし、母が心配して他の部屋で眠るように言うと、金縛りは起こらなかった。
妹の部屋では、他にも説明のつかない現象が次々と起こった。家中どこでも使えるはずのインターネットがその部屋だけ接続できず、電子機器はすぐに壊れ、金属はすぐに錆びてしまった。母が定期的に布団を洗っても、妹の布団だけは何度もカビが生えた。妹は次第に自分の部屋を嫌がるようになり、高校を卒業するまで、私の部屋の床で眠る日々が続いた。
そして妹は大学進学とともに家を出ると、まるで嘘のように元気を取り戻した。今では普通の大人として、ホラー映画を見て怖がる姿を見ることができる。子供の頃に語っていた「クローゼットの子供たち」や、自身が霊感を持っていた記憶をすっかり忘れている。
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