
長編
一人で遊ぶ女の子
たいき 2016年6月9日
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俺が小さい頃にはよく不思議な体験をしました。これは今から30年程前の話
当時、俺は5才ぐらいだったので、記憶が曖昧な点もあるが
今思えば、あれは一体なんだったんだ?って話です。
今の時代なら5才ぐらいの子供が外で一人で遊ぶなんてなかなかない事でしたが、昔、俺が子供の頃は、今より自由でしたしそれが普通っちゃ普通の事でした。
当時、5才の俺は親が共働きでよく祖母の家に預けられてた。その頃俺は幼稚園年中くらいで幼稚園も祖母の家からバスで通ってました。
その祖母の家の近所には俺と同い年の子供が住んでいて、俺が祖母の家に来た時は、そいつといつも遊んでいた。
そいつがいない時は一人で遊んだりしてた訳ですが、当時は外で子供が一人で出掛ける事にあんまり抵抗がなかった時代でしたので、一応あんまり遠くに行かなければ良いみたいな感じで、
俺は祖母の家の坂を下り、そこから約1㎞圏内の今に比べればあり得ない程遠い場所の空地で一人で遊んでいました。
俺が一人で空地で遊んでいると、そこに女の子が一人で遊んでいました。
その女の子は俺と同じか少し小さいくらいの子で、髪は当時よくいたヘルメット型のショートカットで目がクリっとした子で服装までは覚えてないけど、子供の俺が一目で女の子と認識出来たくらいだから女の子らしい格好してたと思う。
その子は一人で砂利に咲いてる花を摘んでました。
これは今も昔も変わらないが
これくらいの子供ってあんまり声をかけたりしないで、自然にいつの間にか一緒に遊んでるみたいな感じじゃないですか。
何故か俺も一緒になって花を摘みはじめた。
お互い無言のまま花摘みをしてると
突然その子が後ろから俺の背中を叩いてきた。
何だ?と俺が振り返るとその子はニコッと笑顔で俺の方を向いたまま後ろに走っていった。
俺はよく分からずまたその場で花摘みをはじめると
またもその子は俺の背中を叩く。
俺がまた振り返るとその子はまた笑顔で走り去っていく。
俺はとりあえず追いかけるとその子はこっちを向いたまま後ろ走りで逃げる。
また俺が背を向けると後ろから背中を叩く。
そして俺が追うとまた後ろ走りで逃げる。
鬼ごっこみたいにタッチして逃げる感じで。
今度は全力で追いかけると、その子はまた後ろ走りで逃げる。
後ろ走りで。
後ろ走りなのに何故か追い付かない。
やっと追い付くかなって所で、
その子は廃屋と思われる建物の中に入って行った。
俺は見るからに廃屋の建物に何故か子供ながらにその子の家と勘違いして
家に逃げ込んだんだと思い込み、しばらく待った。
その子が出てくる様子がなかったので俺も祖母の家に帰った。
その日はそれでおわり。
数日たったある日、俺は祖母と近くのスーパーで買い物に来た。
祖母がお菓子を1つだけ買ってくれると言い、俺は一人お菓子コーナーでお菓子を選んでいると、
後ろから誰かに背中を叩かれた。
振り返ると、その女の子だった。
追いかけるとまた後ろ走りで逃げる。
何回かそのやりとりを繰り返してたが、
婆ちゃんに早くお菓子持ってこいと言われたので、俺は逃げてったその子を追わずバイバイも言わず婆ちゃんと帰った。
また数日たったある日、
今度は祖母の家からだいぶ離れた市場に祖母とバスに乗って買い物にきた。
婆ちゃんは俺そっちのけで自分の買い物に夢中で俺は婆ちゃん見失わないように待ってた。
するとまたその日も後ろから背中を叩いてくる奴がいる。
振り返ると、またその子だ。
また会った。こんな所にも来るんだと子供ながらに思い、また少しその子と例の鬼ごっこみたいなやりとりをして遊んだ。
その子はいつも一人でいる
場所が今までと違い、いつもより遠い場所だったので、子供ながらに不思議な気持ちで
「誰と来たの?お母さんは?」とその子に話しかけてみたけど、
その子は何も喋らず、いつものように笑顔で後ろ向きに俺を見ながら走って逃げていくだけだった。
その日もその子と話す事が出来ないまま俺は買い物が終わった婆ちゃんとバスに乗って帰った。
それから一年くらいその子と会うことはなかったし、突然後ろから背中を叩かれることもなくなった。もちろんその子の名前も歳も知らない。
そんな中、俺が朝、母親に祖母の家まで車で送られてる道中、例の廃屋の前を通ったら、
廃屋の前の砂利で一人で遊ぶその子を見かけた。
声をかけようとはしたが、間に合わなくそのままその子に気付かれる事なく車で通りすぎた。
祖母の家に着いて、急いであの廃屋の前まで行けば良かったけど、俺は他の男の子と遊んでしまった。
しばらくして友達つれてその廃屋に行ったけど、その子はもういなかった。
その後も何度かその廃屋の前まで一人で行ったりしたけど、その子はいつもいなく、仕方なく、一人で砂利で花摘みをして
廃屋の入り口の所に摘んだ花を置いて帰った。
俺が来たぞと言う印
何度か通ったがその子に会うことはなかった
それからも結局その子に会うことはなく何年も過ぎた。
俺が中学生になった頃かな?
あの頃の事を忘れてしまっていた頃
母親の車であの場所の前を通ったら
その廃屋はまだあった。
そして母親が言った。
「この廃屋、ずっとあるんだよ。誰も買い手が見つからないんだね~。…昔、喫茶店やってたみたいだけど、一家惨殺事件があってね。それからずっとそのままみたいだよ。」
それを聞いた俺は
その頃の出来事を思い出した。
あの廃屋はあの女の子が入って行った廃屋だった。
俺は母親に聞いた
「その殺された人の中に4才くらいの女の子いた?」
すると母親は
「いや、そこまでは…」
と言う
「俺、昔あの廃屋の所で女の子と遊んだ事あるんだ!」
すると母親は
「その事件って何十年前の話だからお前が生まれるずっと前だよ」と
その時はそれで安心したが
後々翌々考えると、その子には不思議な点がいっぱいあったな…と
いつも一人だったし一言も喋らなかったし
あんまりはっきりと覚えてないけど
いつも同じ服装だった気がする
もしかして、俺が遊んでた女の子は…
婆さんに聞こうにもその頃既にボケが始まってて、
ネットで調べて見ると
実際、惨殺事件の噂はあったらしいが、実際に起こってたかどうかまでは分からなかった。
もし、その子はその時も既にこの世の子じゃなかったとしたら…
そうじゃないと願いたい!
その理由は、怖いとか気持ち悪いとかそんな気持ちは全くない。
ただ、そうだったら辛かったろうなとかかわいそうだなとか。
そんな気持ちでいっぱいになる。
俺も今では30過ぎた、人の親ですから。
ある時、俺は友人にこの話を教えました。
こう言われました。
「あの時その子追いかけてその廃屋の中に一緒に入ってたら、お前、ヤバかったんじゃねぇ?今この世にいなかったかもよ!
」
と
俺は勿論、そんなふうには思わない。
これが俺の幼少時代に体験した数ある話の1つです。
他にも不思議な体験はありますので時間ある時にでも。
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