
登場する名前は全員仮名。
会話もこんな感じだったって程度に綴る。
同僚の小林について、友人でもある同僚の佐久間から聞いた話。
小林は、男女共に人気のある奴だった。
頭がよく、仕事もできて人付き合いも難なくこなす、自分からすれば隙のない人間に見えた。
仕事で助けられたことも多々あって、お礼にって飲みに誘っても、見返りが欲しくてやってるわけじゃない、俺がミスった時はフォローよろしくなと豪快に笑う、とにかく見た目も中身もめちゃくちゃイケメンだった。
そんな小林が日に日に顔色が悪くやつれていき、仕事でもちょっとしたミスが目立つようになっていった。
特に大きなミスではなかったので、自分も全力でフォローに周り、どうかしたのか聞いても、ちょっとキャパオーバーでさ〜とさらっと笑顔でかわされ続けた。
小林とは公私共に仲良いわけじゃなかったし、友人も多い奴で佐久間とも仲が良かったから、仲良い奴に何かしら相談できてれば良いなとそれ以上踏み込むことはなかった。
実際、佐久間や他の同僚達も小林に声をかけていて、顔色死人だけど大丈夫か?とか、呪われでもしたか?などと冗談を交えながら気にかけていた。
そんな日々が半年ほど続き、とうとう小林は出勤しなくなった。
体調不良か何かかと思い佐久間に聞くと、まぁ… うん…。と歯切れの悪い答えしか返ってこず、様子からして何か良くないことが起こったんだろうなと思った。
しばらくして小林から辞表が届き、あっという間に小林は同僚達の話題から消えてしまった。
あんなに頼りになる人間がこうも簡単に忘れ去られてしまうものなのか、と結構落ち込んだ。
それから数年ほど経ち、同僚仲間と飲んでる最中に小林の話題が上がった。
元気にしてるかなとか、ワンチャン戻ってきてくれないかなとか、そんな和やかな会話だったのだが、それまで上機嫌で酒を煽っていた佐久間の表情がみるみるうちに曇っていった。
自分の中で小林の印象はとてつもなく良かったし、みんな小林のことは忘れてしまったのかと思ってたのもあり話題になって嬉しかったのだが、佐久間の様子に違和感があり声をかけようとした。
「いない人間の話はやめようぜ」
佐久間の冷え切った言葉で、和やかな雰囲気が一瞬にして静まり返った。
小林と仲が良かった奴の言葉とは思えず、みんな気まずい空気になり、それからまた盛り上がることもなく早々にお開きになった。
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