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中編
鎖の鳴る家の話
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鎖の鳴る家の話

1週間前
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広い家の話です。

これは、知り合いのお兄さんから聞いた話だって、先輩が言っていました。

だから本当かどうかはわかりません。でも、私はちょっと本当だと思っています。

その家は中庭があって、石の柱が並んでいて、夜になると風が通り抜けるらしいです。すごく立派なのに、誰も住まない。理由は単純で、夜になると鎖の音がするから、だそうです。

そのお兄さんは、安いからという理由で借りたそうです。噂は聞いていたけど、確認もしないで怖がるのは変だと思ったらしいです。ちょっとかっこつけてる感じがします。

夜、書台を置いて、蝋燭を灯して、巻物を広げていたそうです。筆で何かを書いていた、と。静かで、筆の音だけがしていたらしいです。

それで、金属を引きずるみたいな音がしたそうです。

規則的じゃなくて、止まったり、また動いたりする音だったって。呼吸みたいな間があったって言っていました。

でも、そのお兄さんは顔を上げなかったそうです。音は現象だから観察できる、とか言ってたらしいです。私はちょっと意味がわかりません。

音は部屋の入口で止まって、蝋燭の火が細くなった。

そこに、老人が立っていたそうです。痩せていて、手首と足首に鎖を巻いていたって。鎖は床を擦っているのに、床には傷がつかない。足も地面についていないし、影もない。

老人の目は、お兄さんを見ていなかったらしいです。家の奥を見ているみたいだったって。

それで、お兄さんは筆を止めなかったそうです。

老人は中庭に向かって歩いて、中央で振り向いた。

そのとき、目が合ったって。

怒っているわけでも、悲しんでいるわけでもなくて、ただ、確認するみたいな目だったそうです。

その瞬間、お兄さんの筆が勝手に動いたらしいです。

自分では書くつもりがなかったのに、紙に一行だけ増えていたそうです。

「ここにいると認める」

って。

そのあと老人は消えた。

翌朝、お兄さんは中庭を掘り返させたそうです。鎖に絡まった骸骨が出てきたらしいです。埋められた形跡はなかったって。

みんなは、これで終わりだって言ったそうです。

でも、その夜、家は静かだったのに、何かが違ったらしいです。

鎖の音はしない。でも、書台に向かうと、前に書いたはずのない紙に、同じ一行が残っている。

「ここにいると認める」

筆跡は自分のものだったって。

それから、机の脚に細い鉄の輪が巻きついていたそうです。昨日はなかったのに。軽いけど、外れない。

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