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長編

消えた先行者

しもやん 3日前
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さえすれば)人工的に作り出せるが、5人が静馬ヶ原からトレースを残さずに消え失せた点をどう説明するのか?  茫然と立ち尽くしていると、パラパラと顔に土の粒のようなものが当たるのを感じた。顔に手を当てる。やはり土くれのようだ――と思う間もなく、土の塊がすさまじい勢いであたりに降り注いだ。風で巻き上げられた砂つぶてなどという生易しい代物ではない。まさに土が土砂降りのごとく降ってきたのだ。  なにが起きているのか理解が追いつかないうちに、それは数秒で降り止んだ。全身湿った泥まみれになり閉口したけれども、そんなことを気にしている場合ではない。降ってきた土をつぶさに観察してみる。素人目で見た限り、静馬ヶ原に空いた謎の大穴のそれと組成が酷似している。降ってきた代物と周辺の土が同じとなると、考えられる可能性はひとつしかない。 〈巨人の一撃が地面に穴を穿ち、土が空中に跳ね上げられ、時間差で降ってきたのにちょうど行き当たった〉。これが真実であるはずがない。それにトレースをつけていた先行者の5人はどうなったのか。彼らも周辺の土と一緒に空中へすっ飛ばされたのか? 少なくともここでトレースが途絶えていることの説明にはなる。荒唐無稽でありそうもないことを除けば。  不意に、耳の奥に痛みが走った。どろりとした感触が耳を伝う。触ってみると、べっとりと血がついていた。パニック発症寸前の混乱した意識のなか、五感がこう警告しているのがはっきりわかった。 〈この場にいてはいけない〉  わたしは直観に従った。従わざるを得ないような切迫感に支配されていた。ドライヴウェイへよじ登り、できるだけ大穴から離れるよう9合め駐車場のほうへとひたすら逃げ延びた。ドライヴウェイ上も相当の積雪があり、歩みは遅々として進まない。  振り向きもせずに一心不乱にラッセルしていると、直後、またもや耳をつんざく轟音があたりを席巻した。核爆発が起きたかのようであった。おそるおそる振り返る。静馬ヶ原のあたりに、先ほどわたしが出くわした土砂が降り注いでいるところだった。見た限り、土を空中に巻き上げる自然現象――竜巻や突風――は起きていない。  眼前の光景が信じられず、わたしはしばし呆然と立ち尽くしていた。ほどなくして土砂は降り止んだ。目を凝らすと、静馬ヶ原一帯の上空が歪んでいるように見える。遠くに見える雲がそこの区画を挟んで、断層のようにずれているのだ。光の屈折がその周辺だけ通

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