
長編
お世話になります。
モコ 2017年4月24日
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初めまして、いつも楽しませていただいております。
初めての投稿ですので、読みづらい点も多々あると思いますがご容赦ください。
これは、私が大学生の時に体験したことです。
怖いというよりは悲しくて、ちょっぴりおかしなお話になります。
当時私は大学の紹介する学生マンションに住んでおりました。
学生マンションですので当然、同じ大学に通う学生もたくさん住んでおり、その中の1人が今でも大親友の友ちゃん(仮名)です。
友ちゃんと私は、共に地方の田舎出身という事もあり学科は違いましたがすぐに仲良くなりました。
私は一階、友ちゃんは二階だったのですが、大体どちらかの部屋に入り浸って2人で住んでいるような生活でした。
大学の友達からも2人はニコイチだと良く言われていました。
友ちゃんは、少し複雑な生い立ちをしていて、父親は友ちゃんが産まれる前に蒸発、母親と祖母の3人で本家の孫として暮らしていました。
母親には姉が2人いましたが、皆嫁いで行ってしまい、土地や家の管理は全て祖母と友ちゃん親子に任せっぱなしだったようです。
実家は三重の某有名遺産の近くらしいのですが、なんでも、後になり伯母の旦那さんが、友ちゃん親子を追い出し遺産(山や土地や家)を自分の物にするため、自分の息子(友ちゃんから見れば従兄弟にあたります)に本家の跡を継がせようと友ちゃん親子に酷い仕打ちをし、挙句お前らは〇〇家の人間では無いと追い出してしまったそうです。
友ちゃんは元々大学で田舎を出る予定でしたが、母親と祖母は行くあても無いため、仕方なく本家の離れに置いてもらいながら、山や土地、お墓の管理を全てしていたそうです。
私情を挟んで申し訳ないのですが、今思い出しても腹が立って仕方ありません。
〇〇家の人間じゃないのは血の繋がりのないお前だろ。
話が逸れてしまいましたが、友ちゃんは元々由緒あるお家柄ということが、その話や、また友ちゃんの所作やちょっとした気遣いに感じられました。
そういう古いお家だからでしょうか?
友ちゃんには少し変わった習慣がありました。
寝る時にいつも香り袋のような小さな巾着を枕元に置いているのです。
私も、寝る時は実家から持ってきたテディベアと一緒でしたし、そんなに違和感は無く深く追求するようなことは無かったのです。
が、友ちゃんの方から中身を見せてくれたことがありました。中身は小さな木のお札?電車の切符よりふた回り大きいぐらいの物が入っており、それがなんなのかは友ちゃん自身も深くは知らないようでした。
ただ、友ちゃんの一族の女性は必ずそれを肌身離さず持ち歩くらしく、友ちゃんの家は広いお庭に先祖代々のお墓があり、そのお墓にもその木のお札を使うとの事なので、多分宗教的な要素が大きいのかな?とそこまで深くは考えていませんでした。
そんなある日、もう大学も三回生でそんなに頑張って授業に出なくても良くなってきた頃です。
私はその日授業が無かったので、自分の部屋で1人のんびりしていました。
友ちゃんは大学に行っていましたが、前日いつものように一緒に寝ていたので友ちゃんの抜け殻が朝出て行ったまんまで残っていました。
私もその横で寝転んでテレビを観ていましたが、ふと友ちゃんの抜け殻に目がついて気づいたのですが、あの巾着袋を置いたままだったのです。
あれ?忘れるなんて珍しいなぁ、と思った瞬間、人生で初めての金縛りにあいました。
本当に、テレビの方を向いたまま寝転がりこんなにリラックスしている状態で体が固まり全く動きません。
その間にもテレビの画面だけが賑やかに動いています。
テレビの向こう側が窓になっており、西日がきつくなってきた時間帯でした。
すると、部屋と廊下を隔てている扉がガチャ…と開いた音がして、ずっ…ずっ…と足を引きづりながら歩いているような音が聞こえ、それが私の足元に近づいてきました。
そのまま、私の背中側から足元、太もも、腰、背中、肩…へとずり…ずり…とゆっくりゆっくり近づいてきました。
後ろにいるので何が来ているのか全くわかりませんでしたが、不思議と怖いという感覚は無く、どちらかといえばこう、手を添えて助けてあげたくなるような雰囲気でした。
そうして私の頭の後ろまで来た「それ」は立ったままグルンっ!!
と私の顔を覗き込んで来ました。
西日がきつく、逆さまの顔は逆光で顔は真っ黒で何にも見えませんでしたが、何故か表情が頭の中に直接伝わるような感覚があり。
その真っ黒な顔は一瞬「え?」と意表を突かれたような顔をしましたが、すぐ穏やかに笑っているように見えました。
そして、まるで会釈をするように深々と私の顔に逆さまの顔を近づけて、また顔を離すとそのまま上体を起こしまた立った姿勢に戻り、そうしてまたずり…ずり…と離れながら音が小さくなり、すっ…金縛りが解けました。
今起こったことが自分で整理出来ずに、しばらくテレビを観ながらボーっとしているとどれぐらい時間が経ったのか、友ちゃんが慌ただしく帰って来て、開口一番に祖母が亡くなったと言いました。
私は直感で、ああ、さっきの人は友ちゃんのおばあちゃんだったんだな、私と友ちゃんを間違えたんだな…と思い、さっきまでアレが立っていた場所にあった巾着袋を握りしめ
「友ちゃんのおばあちゃん、私と友ちゃんを間違えちゃったんですね。ややこしくてすみません。友ちゃんには私がついているので、安心して下さいね。」と心の中でお祈りしました。
これが、私が最初に経験した霊体験です。
実は、友ちゃんと出会ってから色々と不思議な体験をしているのですが、長くなりますのでまた機会がありましたらお話しさせて下さい。
こんな拙い文章に長々とお付き合い戴き本当にありがとうございました。
追記、そういえば、木のお札の話はいろんな怪談話で聞きますが、正体はなんなのでしょうか?
友ちゃんのお母さんも若くして亡くなり、今は誰も詳しい事情を知らないので、もしご存知の方がいらっしゃいましたらご教授くだされば幸いです。
後日談:
- あ、ちなみに友ちゃんは親族とは絶縁し、天涯孤独の身になりましたが幸せそうです。 それと、友ちゃんのお庭にあるお墓には、小さい頃に亡くなってしまった女の子のお墓があり、友ちゃんの祖母と母はその子を供養するために非人道的な扱いを受けても本家に残っていたらしいのですが、2人が亡くなってしまい手入れが行き届いていないお墓のせいか、従兄弟夫婦は子供を立て続けに死産し、伯母夫婦は体を壊し遠くの病院へ別々に入院しているそうです。 友ちゃんのお家は代々分骨して半分お寺に納骨してもらうそうなのですが、その女の子の骨は受け取りを断られたそうです。 呪いにしろなんにしろ、私は正直スッキリしました。
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