
「ほら、これが本当の映画の楽しみ方やで!」
薄暗い映画館のロビーで、青いジャケットを着たタクヤは、仲間のユウジに向かって得意げに言った。ユウジは黒いパーカーを着て、少し怯えた表情を浮かべている。二人は、観客が誰もいないスクリーンの前に立ち、タクヤは興奮気味に続けた。「このフィルム、実は特別なもんや。見たら、絶対に忘れられへん。」
タクヤは、ボロボロのフィルムを取り出し、スクリーンに投影した。その瞬間、画面には奇妙な映像が映し出された。人々が恐怖に怯え、逃げ惑う姿が映る。ユウジは思わず目を背けたが、タクヤは笑いをこらえきれないようだった。
「見ろ、これがエクスタシーや!」タクヤが言うと、彼の目はまるで狂気に満ちていた。ユウジは、心臓が高鳴るのを感じた。「やめろよ、タクヤ。こんなの怖いだけだ。」
だがタクヤは興奮し、さらにフィルムを進めた。映像は次第に過激になり、流血や悲鳴が響き渡る。ユウジは耐えきれず後ずさりした。その時、突然フィルムが途切れ、映像が静止した。タクヤの顔から笑顔が消え、彼は不安そうにスクリーンを見つめた。「おかしいな、どうしたんや?」
その時、映画館の暗闇からかすかな物音が聞こえた。タクヤは振り向いたが、誰もいない。ユウジも身を縮めて震えていた。すると、スクリーンの中から白い煙のようなものがゆっくりと立ち上り、二人の目の前に迫ってきた。
「これは…」タクヤの声が震える。「まさか、本当に見えるのか?」
ユウジは恐怖に目を見開き、タクヤを引き止めた。「逃げよう、タクヤ!」しかしタクヤは動かず、ただスクリーンを見つめていた。「見てみ、この影が…」 その言葉が終わると、彼の目の前に映る影が彼を引き寄せるように動いた。
タクヤは突然、フィルムの中に引き込まれるように消えていった。ユウジは驚き、すぐに逃げ出した。しかし、映画館の出口は開かず、彼は暗闇の中に閉じ込められた。
時間が経つにつれ、ユウジの耳元にはタクヤの声が響いてきた。「お前も、こっちに来いよ…」
数日後、映画館が閉鎖され、誰も近寄らなくなった。タクヤの姿は消え、彼がフィルムの中で見たものは誰も知ることがなかった。しかし、一部の人々は今でもその映画館の前を通り過ぎるたび、タクヤの笑い声が聞こえるような気がするという。
「やっぱり、エクスタシーは最高やな…」その言葉だけが、暗い映画館に残されたままだった。
後日談:
後日談はまだありません。
この怖い話はどうでしたか?
chat_bubble コメント(0件)
コメントはまだありません。



