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長編

こっちじゃない

匿名 2021年2月15日
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ある日の夜、変な時間に昼寝をしたせいで寝付きが悪く、YouTubeでトーク系の動画を聞き流しながら眠りにつこうとしていた。俺はどんな話だろうと眠くなるため、面白ろ半分に怖い話を選択した。その内容は、日本の現実世界にはない「駅」の話で、「きさらぎ駅」などが紹介されていた。なんでもこの世ではない世界の駅に迷い混んだとの話だったが、ふと俺の脳裏に過るものがあった。高校1年の頃の話である。 俺の通う高校はいわゆる進学校で、勉強や部活にも手を抜けない厳しい高校だったのだが、ある日連絡網に非日常の連絡が入った。(ここでは高校をA高校としておく) 「A高校において自殺」 自分の通う高校で自殺が起きた。それも学校のトイレでの自殺で、発見が下校した後の夜遅くだったという。自殺した生徒は2年生の吹奏楽部の女子生徒だった。しかし、俺は次の日に友達とその話をしても一向に現実味を感じなかった。自殺した女子生徒は、部活も学年も違うため関わりがなかったからである。そんなことがあり、自殺現場はあっという間に封印されてしまった。文字通り、壁で埋めてしまい入れなくなったが今でもその部分を叩くと空洞になっているため音が響くらしい。(俺はやらなかった。だって怖いもん。) それから2ヶ月くらいした頃だったと思う。自殺の事件も、関係のない俺にとって日常によっていつもの高校生活に置換されてしまい忘れ去られてしまった。その日までは… 俺はバドミントン部で、暗くなるまで練習をしているため校舎の中に残っている生徒はほとんどいなくなってしまう。校舎とは離れた体育館から外を通って部室まで行っていたが、その日はたまたま雨だったため校舎を通って部室まで行くことにした。この通路の他にも反対方向から向かう道もあるが、わざわざ遠い道を選ぶはずもなかった。遅い時間になると部室に繋がる渡り廊下の鍵が閉まっていることがあるため、5人くらいで「空いてなかったらじゃんけんして鍵を取りに行こう」などと話していた。校舎に入り突き当たりが渡り廊下の入り口なのだが、校舎に入ったところで俺たちは女子生徒がまっすぐ渡り廊下に行くところを目撃する。それを見て、「おお良かった!空いてるじゃん!ラッキー!」と気分が上がった俺たちは走って渡り廊下に出た。すると、渡り廊下の出口にも扉があり、そこも鍵がないといけないが、さきほどの女子生徒がちょうど出ていくところだった。女子生徒が扉を出てそのまま角を曲がって行ったのを見て、勢いもそのままに渡り廊下を通り抜けようとした。すると、渡り廊下の出口の扉が開かなくなっていた。鍵がかかっていたのである。 「おかしいな、さっき女子が出たはずなのに…」 「すぐに閉めちゃったのかも。反対周りで行くしかないな。戻るか。」 「ちぇー、入り口は閉めてないのにこっちだけ閉めるなんて変なやつー」 こんな感じで愚痴っていたが、仲間の一人が何かに気がついたようだった。 「おい、さっきの女子どっから出てきた?」 この言葉にはみんなも首をかしげた。女子を見かけたのは校舎に入ったときで、突き当たりには階段と部室しかないのである。俺たちが見たのは、女子がまっすぐ渡り廊下に出たとこである。なんの話なのかと考えていると、友人の言わんとしていることがわかってしまった。 「女子出てきたとこって、吹奏楽部の部室じゃね?」 文系部の部室は運動部とは違い校舎内に部室があり、その女子はあたかも階段下のその部室から出てきたようにしか見えなかったということになるのである。加えて友人はこうも付け加えた。 「そして、女子が渡り廊下出て曲がったとこにあるのって…あのトイレだよな。」 この言葉で全員が凍りついた。そんなまさかと思い、全員で一斉にその女子を見つけるためにダッシュで反対周りの道に向かい追いかけた。鍵を持っていれば職員室方面へ、そのまま帰るかどこかに行くにしても場所が限られるため二方面しか探す場所はないはずだった。しかし、その女子生徒はついぞ見つかることはなかった。玄関にも鍵が掛けられているし、職員室にも生徒はいなかった。俺たちは幽霊を見たのだと青ざめた。 翌日、吹奏楽部の友人に確認を取るため、「昨日何時まで部活してた?」と聞いたところ、「昨日は部活自体なかったよ。」と言われてしまい、俺は、俺たちは自殺した吹奏楽部の女子生徒の霊を見てしまったのだと確信した。 話は戻って、なぜ俺が駅の話をしたかについて語ろうと思う。幽霊を見た俺たちは怖さ半分と、レアな体験をしてしまったという高揚感半分という感じで、その後解散した。俺は友人たちとは違い電車通学のため駅に向かった。田舎のため、部活終わりすぐに電車が来るなんて贅沢はなかった。そのため疲れと空腹で眠くなりながらも勉強して待っているのが日課だった。電車が来るのが夜9時過ぎでそれから帰るので電車ではいつも寝ていた。いつもの2両編成で人も疎らに座るため、いつもの席に座ってさっそく目を閉じる。自慢ではないが、寝てても停止した振動と駅名で起きるという離れ業を習得しているため寝過ごしたことはなかった。それでもその日の電車は違ったように感じた。電車の外が妙に騒がしく、葉や枝が電車に擦れるような音がしたと思う。変だなとは思いつつ目は閉じていた。しかし、電車はゆっくりと停車し、駅名のアナウンスもなくドアが「プシュー」という音を立てて開いた。俺の乗る電車には自動で開く機能なんてなかったはずである。さらに言うと快速電車のため発車してからはS駅とK駅の二駅にしか止まらないのに不自然だと、さすがに俺の駅ではないだろうなと思い目を開く。するとそこには木々が立ち並ぶ質素な場所があった。今まで見たことのない駅の光景に「こんな駅はないはずだ」と内心思っていると、不意に声をかけられた。 「にしゃ、起きてんのかよ?」 方言と訛りのある声に俺は呼び掛けられた。振り返ると古い(昭和の服のようだった)服を来たおばあさんがこっちを向いていた。周りの乗客もみんな寝ているし、こんな時間にどうしておばあさんがいるのだろう、そもそも最初からいたのかという疑問が最初に湧いていたが、質問に答えることにした。(以後、おばあさんの方言は訳す) 「起きています。」 「あんた名前は」 「K(名字)といいます。」 「Kか…Y町のか?」 俺の名字は珍しく、住んでいるところではたくさんいるが他の地域にはほとんどいないためとりあえず名乗っておくとわかってもらえることが多々あった。それにしてもY町とは俺の祖父の実家であった。知り合いなのかと思い答えることにした。 「ええ、祖父の実家です。」 「はーん、そうかそうか、昔世話になったから教えてあげよう。」 そういうと、おばあさんは笑顔でこう言った。 「この汽車にはいろんなのが乗ってるからね、気を付けなさい。あんたはS駅で降りるの?」 S駅とはさきほどのY町がある駅のことである。しかし、俺はその次のK駅で降りるためそう答えると、途端に難しい顔になって真剣そうにこう言った。 「あんた、もし嫌なことがあったらこう言いなさい。<お前はこっちに来ては行けない。お前の帰るとこはI町だ。帰りなさい。帰りなさい。早く帰りなさい。>わかったね?」 なんのことかさっぱりで腑の抜けた返事をすると、おばあさんはそのまま降りて行った。変な駅に変なおばあさんがいて不思議な気持ちだった。駅が遠ざかるにつれていつもの風景に戻っていった。そしてその後、予定通りS駅に止まったこともあり、あの駅は一体なんだったのだろうと考えていると俺が降りるK駅に着いた。K駅から家までは2キロ程度で、いつもなら自転車だが、あいにくの雨のため徒歩で帰宅することにした。田舎は街灯が少なく、ぽつりぽつりとある程度で、22時も過ぎているため信号も点滅し、人も車も通っていなかった。これが普通であるため、俺にとっていつものように帰るだけだった。だが、今日はいつもと違う感覚、とりわけ圧迫されるような感覚だったと思う。今だとわかる表現だが、高速道路のトンネルで後ろにトラックがぴったりつけられてるような感覚に似ていた。ふと後ろを振り向くと同じA高校の制服を着た女子生徒がいた。いたことに驚いたのだと思うが、それより嫌悪感の方が強かった。いわゆる知らない人が同じ帰り道で早くどっかいかないかという、あの気持ちだ。俺は歩みを早めて先に進んだ。しかし、一向に嫌悪感が止まらない。街灯のある所で振り向くとやはり女子生徒がいた。そこであることに気が付く。その女子生徒はいつ見ても後ろ向きなのである。後ろ向きで歩くような危篤なJKはいないだろうし、さらに嫌悪感を増幅させるのは荷物がないことでだった。そもそも後ろ向きと考えたのが、髪が首のところまでかかっていて耳のような位置が正面とは逆向きだったからだ。しかし、それ以外の要素(手の向きや足の向き)などはなぜか覚えていない。意識は女子生徒の顔面部分周辺に固定されていると言ってもよい。とにかく後ろ向きだと考えていた。変過ぎて怖いというより、嫌悪感に刺されるようだった。そのまま歩くとこ1キロくらい。あと半分で家に着くだろうというとこでさすがに俺も焦り始めた。この道を通るA高校の生徒は俺だけのはずだったからである。そもそも俺の地域からはA高校のような進学校に行く人数は限られており、特に俺の家は中学の地域の端に位置するため、A高校の生徒はおろか、高校生自体がこの道を使うことはないはずなのだ。それに今まで同じ電車でも見たことがないのだからもっと早くに気付くべきだったと後悔した。しかし、俺は意を決して振り向く。振り向くとやはり女子生徒がいた。何かを言おうとすると、ふとあのおばあさんの言葉が過り、そのように話そうと考えた。さらに、おばあさんの言っていた「I町」のことも理解ができ、脳内で補完しながら話しかけた。「I町」とは俺の住むT町とは駅を出て反対方向にある町のことである。(当時は俺も方言があったため訳して書かせてもらう) 「あの、あなたはこっち(地域)の人じゃないですよね?I町は反対方向だからすぐに引き返して下さい。こっちに来てはいけません。早く帰りなさい。」 初対面に何を言ってるのかさっぱりだったし、言っている意味も俺自身分かっていなかったのだが、とにかくこの嫌悪感から逃れたかった。どうか聞き分けてくれと心で願っていると、その女子生徒はなにも言わずに反対方向に進んでいった。歩いて行ったという表現を使わないのは、足に注意が行かず、本当に頭も体も揺れることなく俺の視界から消えていったからだ。 なんとかおれは家に帰ることができ、家に帰って祖母が起きていたため、今日あったことを順を追って説明しようと高校で見た自殺した女子生徒の幽霊の話をすると・・・ 「ああ、自殺した女子生徒な、I町の人なんだと」 この言葉を聞いた瞬間、全てが繋がった気がした。幽霊を見た俺に、その幽霊が家に帰ろうとしてついてきていたのではないだろうかと。 おそらくあの謎の駅も、憑かれた俺だけが見られるあの世の駅だったのだろう。それにしてもあのおばあさんには感謝しなければなるまい。もし、俺の祖父か同じ苗字の親戚か誰かが良いことをしていなければ、何も知らない俺はきっとあの幽霊を家に連れ帰ってきてしまっていたのだから。 あのおばあさんも、幽霊なのだと考えがえるとS駅の前には幽霊が停車する駅があるのかもしれない。そうだとするとおばあさんの言っていた「この汽車にはいろんなのが乗っている」とは、帰りのあの電車には我々だけではない、「何か」が乗っているのかもしれないと今なら気付けた、少し昔の話である。

後日談:

  • たまたま見たYouTubeのきさらぎ駅の話を機に、「あ、俺もそういう経験あるわ!」と数年越しに思い出しました。それにしても、100%実話が私の経験上に存在するとなると、今さらながら興奮しますね!それに、あのときのおばあさんに世話をした覚えもないので、きっと祖父や同じ名字の親戚が良いことをしたのかもしれませんね。良いことはしておくものですね。 追伸 それ以来、特段霊を見たり感じたりということはありません。怖い話を子守唄に聞いて寝られるほどですから笑 それはさておき、2021年5月に母校に教育実習に行くことになりました。もう一度現場のトイレや部室を確認してこようと思います。そして、帰りの電車では今度は目を開けて見てみることにしましょう。

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