
中編
【実話】もーいーよー。
匿名 2020年10月6日
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私が小学生の頃、北海道の田舎に住んでいた時の話です。
私は子どもの頃よく友達と家の近くで隠れんぼをしていました。
田舎だったこともあってか、
当時、近隣の大人達は自分達の敷地内への子どもの出入りに寛容で私達は各民家の庭の倉庫の影や木や灯篭の後ろなどに隠れていました。
しかしそんな大人たちから、あそこだけは立ち入ってはいけないという場所がありました。
そこは民家と民家の間にポツンとある空き地なのですが、大人の胸の高さのくらいまである雑草が生茂り、もともと古い小屋があったのであろう、ボロボロになった廃材や小屋の枠組み?の様なものが建っているだけでした。
私の住んでいた付近は田舎ながら比較的裕福な家が多く周りにも立派な家が建ち並んでいたのですが、当時小学生だった私から見てもその空き地は少し違和感がありました。
ある日友達4、5人で集まりいつものように家の周りで隠れんぼをしていた時の事です。
近所は坂に面した住宅街で鬼になった私はいつも通りに坂道の一番下まで降りて、10数え始めました。
「あっちだ、あそこへ隠れよう!」などと友人達が騒いでいる声が聞こえました。
ゆっくりと10秒数え終え「もーいーかーい?」と声をかけました。
すると「もーいーよー。」と声が聞こえました。
その声に私は違和感を覚えました。
実は当時の私達の隠れんぼにはローカルルールがあり、声で位置がバレない様に誰も返事をしなくなったら鬼が探し始めるというものでした。
その為「もーいーよー」という掛け声は誰も使わないのです。
そしてその時一緒に遊んでいたのは男子だけだったのですが、
その声は女の子の声だったのです。
「おかしいなぁ、誰かが途中から入ったのか?」
などと考えながら、もう一度
「もーいーかーい?」と声をかけました。
するとまた女の子の声で「もーいーよー。」と声が聞こえます。
声が聞こえた方を向くと私はびっくりしました。
あの「立入禁止の空き地」だったのです。
女の子の姿は見えませんが確かに例の空き地の方から声が聞こえます。
まず近所の子どもならば絶対に立入らない場所です。私は少し怖くなりました。
「ねえ!誰かいるの!?」
と声をかけましたが返事がありません。
恐る恐る「もーいーかーい...?」と声をかけると
「もーいーよー。」「もーいーよー。」
と姿の見えない女の子の声がしました。
今度は何度も何度もまるで私を呼ぶ様に
「もーいーよー。」「もーいーよー。」
と女の子の声が響き渡ります。
私はその異常な雰囲気に怖くなり、
坂道を駆け上がり、隠れんぼを中止して友達を一度集めました。
友「なんで途中でやめるんだよー」
友達が不機嫌な様子で出てきました。
私「だって今、変な声聞こえたでしょ?女の子の声で!なんか怖くってさー」
友「声?そんなの聞こえなかったよ」
他の友人達もおかしな声は聞こえなかったそうです。
私は友人達に事情を話し、一緒に例の空き地の前まで行きました。
「もーいーかーい?」
と私が声をかけましたが、もう返事はありませんでした。
友「何も聞こえないじゃん、空耳じゃないの?」
結局友人達には信じてもらえませんでしたが、私の様子がおかしかった事もありその日は解散する事になりました。
その後、両親にあの空き地のことを聞きましたが、「危ないから入ってはいけない」というだけで、はぐらかされてしまい
詳しい理由などは教えてもらえませんでした。
ここまでが私の小学生時代の体験です。
しかしあれだけはっきり聞こえた声が空耳だったとは今でも思えません。
あれから20年程たった後、ずっと空き地だったあの場所にお洒落な一軒家が建ちました。
しかしその家は1、2年ほどでまた空き家になってしまったそうです。
その話を聞いた時に私はあの女の子の声を思い出し、今回の件と何か関係があるのではと思いゾッとしました。
やっぱり勘違いじゃなかったんだ。と
住宅街の中でずっとあの場所だけ空き地だった事、周りの大人達にあそこだけは入るなと言われていた事、女の子の声、今回の空き家の件、全てが繋がっている様な気がしてならないのです。
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